47.鳥の方 ページ47
「ふっ。はは、はははは……ああ。"主"は本当に変わってるなあ。見ていて飽きない」
「……それは肯定と受け取っても?」
「いいぜ。俺は主に力を貸す。ただし、あくまでもアドバイスをするだけだ。だから姿は……」
「見せない、ですね。いいでしょう。私もまだ死にたくはないので」
交渉は成立。これで少しは本丸の現状を把握しやすくなるし、仕事も捗る。
それに……
久しぶりに、"彼らしい"明るい声が聞けてよかった。
「ちなみに名前は」
「教える気はないな。必要ないだろ?俺たちは仲間じゃないんだから」
まぁ、それもそうか。
でもそうなると少し呼び方に困る……。
いつどこで彼の力を借りたいと思うかもしれないし、なにか愛称は付けておきたい。
「…………"鳥の方"」
「え?」
「鳥兜を育てていたので、鳥の方。今からあなたのことを私はそう呼ぶことにしますね」
「ああ……そっちか。好きにしたらいい」
「ちなみに私の名前は立花Aと言います」
その流れで言おう言おうと思っていたことを告げる。
すると鳥の方のほうから、壁にぶつかるような音が聞こえた。
「は。いや……は?待ってくれ、主……わかっているのか?いや、わかってるよな?」
戸惑いを隠せないといった声。
その反応はおおかた予想通りだけど、言ったはずだ。私は命を懸けてこの仕事に就いていると。
だから本来"禁句"のはずの、付喪神に真名を教えることはなんら不思議なことではない。
むしろ、私の誠実さを伝えるためには必要なことだ。
「私のことが不要だと思ったら、いつでもその名を歪めてくださいね」
私はあなたの魂をこの手に握っているのに、あなたが私の魂を握っていないのは不公平でしょ。
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黒羽ひみと(プロフ) - 黒無さん» お褒めの言葉ありがとうございます!更新は今しばらくお待ちくださいませ! (2020年9月26日 14時) (レス) id: 451dd01b35 (このIDを非表示/違反報告)
黒羽ひみと(プロフ) - waterさん» ありがとうございます。更新止まってしまいすみません!時間ができ次第再開します。 (2020年9月26日 14時) (レス) id: 451dd01b35 (このIDを非表示/違反報告)
黒無(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございます!更新待ってます!! (2020年9月24日 12時) (レス) id: 2b98e9a281 (このIDを非表示/違反報告)
water(プロフ) - 面白い。いい作品に会えて良かったです。更新待ってます。 (2020年9月24日 12時) (レス) id: e941bacba9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒羽ひみと | 作成日時:2020年8月23日 12時