【刀剣乱舞】その審神者、仕事中毒により。

37.亀裂 ページ37

「審神者の引き継ぎも俺は反対だな」


珍しく黙り込んでいた三日月が発言した。数人は三日月と同じような目をして、床を見つめている。


「政府に限らず人間は信用なりませんな」

「だが手入れには審神者が必要である。弟の怪我を治せなくなるが、いいのであるか？」

「いいわけねぇだろ。だが俺も反対だ。国広のことは第一だが……第一だからこそまた審神者を置こうとは思えねぇ」


反対派と肯定派で別れ、亀裂が走る。

今まで主に対する苦労で繋がっていたような関係だ。
それも強い弱いがある。

誰もが皆あの男に苦しめられていたわけではない。中には上手く取り入って、綺麗なまま隣で笑っているやつもいた。


……そういえば、そんなあいつの姿が見えない。


「じゃあなんじゃ。審神者は置かんちゅうことでええがか？」

「勝手に話を進めるな。俺は主に使えるためにここにいる。それなのに、主を置かずして誰に使えろと」

「いいじゃないか。好きに生きれば」

「今さら好きにしろと言われたところで……」

「ちょっと伽羅ちゃん、どこへ行くんだい？」


話の途中、大広間から出ようとする大倶利伽羅を全員が見つめた。

大倶利伽羅は一度止まったが、振り向くことはなく質問に答える。


「喧嘩がしたいなら勝手にしろ。俺はどちらでも構わない」


ただそれだけを述べ、この場から離れた。

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