30.胃が縮まる ページ30
三日月が「呼んではみるが呼んではみるがな」といった視線を、三秒間ぐらい向けて厨房を出る。
その後、私は空中に向かって口を開いた。
「こんのすけ、いま来れますか」
「はい!……なんの用でしょう」
「野菜と肉、三十振り分の料理が作れる程度に一式買ってきてください。一ヶ月分ぐらい」
「えっ」
「返事は?」
「私ひとりで?」
「返事」
「……はい」
ブラック審神者とでも、パワハラとでもなんでも言ってくれといった気持ちで命令した。
私にはいま万屋街に行っている暇はないのだ。
この厨房機器が全て使えるのか見ないといけないし、三日月が燭台切を呼んできたあと、彼を上手く説得しなくちゃならない。
すごく時間を要するであろうことがわかる。
こんのすけが焦りながら消えた。まぁ彼に頼めば恐らくすぐに用意できるだろう。
冷蔵庫やオーブン、コンロ、水道をそれぞれ動かしてみた。
冷蔵庫は電気が止まっていたけれど、コンセントを付け直したら冷風が感じられる。
オーブンも若干不安ではあるものの、今日一日なら使えそうだ。今度新しく買い換えればいい。
コンロはとにかくサビなどの汚れが酷いため、一度洗わなくちゃならない。火自体は電池式だから電池を変えればこれも動く。
水道はハンドルが茶色く固まっていて、なかなか捻ることができない。確かサビはお酢を使うと取れるって聞いたことがあるけど、お酢……。
厨房を見渡して、戸棚の上にお酢などの調味料が並んでいることに気付いた。
「調味料は揃ってるのに料理はしてないのかよ!」
前任への怒りが漏れる。
どうせ親か誰かに贈ってもらったか、用意してもらったものなんだろう。
殺されていいとまでは思えないが、人間としてできていなかったことだけはわかった。
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黒羽ひみと(プロフ) - 黒無さん» お褒めの言葉ありがとうございます!更新は今しばらくお待ちくださいませ! (2020年9月26日 14時) (レス) id: 451dd01b35 (このIDを非表示/違反報告)
黒羽ひみと(プロフ) - waterさん» ありがとうございます。更新止まってしまいすみません!時間ができ次第再開します。 (2020年9月26日 14時) (レス) id: 451dd01b35 (このIDを非表示/違反報告)
黒無(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございます!更新待ってます!! (2020年9月24日 12時) (レス) id: 2b98e9a281 (このIDを非表示/違反報告)
water(プロフ) - 面白い。いい作品に会えて良かったです。更新待ってます。 (2020年9月24日 12時) (レス) id: e941bacba9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒羽ひみと | 作成日時:2020年8月23日 12時