【刀剣乱舞】その審神者、仕事中毒により。

39.悪い人間 ページ39

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料理とはおもてなしの心だ。とは、よく燭台切光忠という刀が言っていたもの。

伊達政宗の影響を受けて出てくる言葉で、やはり伊達刀には根強く伊達の色が染み込んでいる。


「やはり燭台切はセンスありますよ」

「え、本当かな。でもこうして包丁を使って野菜を切るのは悪くないね。刀の僕が言うのは変だけど」


料理を初めてする、と言う割に燭台切の包丁の使い方は手馴れている。三日月は説明してもちんぷんかんぷんな感じだったのに。


「……なんか不思議だな。こうして審神者と料理をしてるなんて」

「私も、断られるかと思いました」

「断らないよ。断れるほど、僕は強くない。それに、僕から見て君は悪い人間は見えないからね」

「……私は悪い人間ですよ」


包丁の音が止まる。

私は汚れを洗い流したコンロをタオルで拭いた。これでコンロも問題無く使えそうだ。


「悪い人は、自分のことを悪い人なんて言わないよ。ねぇ三日月さん、あなたもそう思ったからこの子を置いたんでしょ」


燭台切は三日月を振り返る。

三日月はうんともすんとも返さなかった。


「三日月さんがなにも言わないときは大抵肯定なんだ。覚えておいて損はないよ」

「燭台切」

「そもそも、最初から最後まで審神者を置くことに反対していた三日月さんが置くぐらいだもん。きっと君は期待されてるんだね」


淡々と客観的な意見を聞かされる。けれどそれでやはり確信に至った。

私はなにかを期待されている。

三日月と……あの姿を見せない付喪神に。

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