【ヒプマイ】私はただのオネーさん【飴村乱数】

42.大好き ページ42

シブヤスクランブル交差点、人と人との間をあなたと手を繋いで歩く。


「こうしてると、初めて会った日のこと思い出すね」


なんてところまで言ってハッとした。

"乱数"は覚えてないんだった。


「あの、えっとね私……」

「今はもう、震える必要は無いでしょっ」

「え？」


震えてたことを、覚えてる？


「えってひどーいっ！でも仕方ないか。ついさっき思い出したからねっ」

「そうなの？」

「うんっ。最近Aとこうやって歩いてると、なんか思い出すんだよね〜っ」

「そっか。なら、もっと思い出してもらわないと」


私だけたくさん持ってるのは不公平だもん。

ちゃんと乱数にも半分持ってもらわないと。

"私たち"の幸せのために。


あ。

そーだ。


と、ポケットからそれを取り出した。


「これ舐めて思い出して」

「これって僕があげたやつじゃーんっまだ舐めてなかったのっ」


___それ舐めて、今日のこと思い描いてくれると嬉しいなっ。


だって。


「私には必要無いもん」


思い描かなくなって、忘れたりしないよ。

乱数のことは私が誰より覚えてるし、誰よりも知りたい。


「うーん、じゃっ僕も要らない。自力で思い出すよAのこと」

「その突然低くなるの慣れないから、いつもそれでいてよ」

「ギャップ萌えっしちゃうでしょ」

「何もしなくたって私はいつも乱数に萌えてるよ」


一緒にいればいるほどこの愛は溢れることを知らない。

それで辛い時もある。

苦しい事もある。


それでも私は……。


「好きだよA」

「私も、乱数のこと大好き」


あなたを好きでいることを止めたくない。

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