【ヒプマイ】私はただのオネーさん【飴村乱数】

27.安堵 ページ27

フワッと優しい匂いと、温かさ。


俺は、何をしているんだ。

Aがおいでと招くから、それに従って近ずいて抱き締められて……。

けど、こうしていると安心する。


「好きだよ乱数ちゃん」


小さな声だ。

それでも確かに聞こえる声。

素直で真っ直ぐな言葉。

嘘偽りの無い優しい言葉。


「だから、私を殺さないでくれてありがとう」


……この時、何故かホッとしたんだ。


＊ ＊ ＊


…………ん。


はっ。

つ、つつつつい、抱き締めちゃったけど、これってなんか失礼じゃない！？

このタイミングだと綾してるような。

さっきから乱数ちゃん無反応だし！

で、でも身は預けて……。


「あの、乱数ちゃん？」

「……もう少しこのまま」

「え？う、うん……！」


声、低くって一瞬焦った。


こっちが素の声なのかな。

いつも高いトーン出してる？

無理、させてる？


「ふーっ」

「ひゃっ！ちょっと乱数ちゃん！」

「あはっ、怒った？」

「怒っては無いけど……！」


何でいきなり耳に息吹き掛けてきたの。

態度も戻ってるし。


「あっははは！Aムッとしてるの面白いっ」

「おもっ！？乱数ちゃんがもう少しって言ったのに」

「だって眠たくなってきちゃったんだもんっ。僕仕事しなくちゃだから、寝るならまた今度ってね」


そう言いながら乱数ちゃんは上機嫌に部屋を出て、扉を閉めた。

鍵の締まる音は聞こえなかった。

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