21.真意 ページ21
乱数ちゃんは何も言わない。
ただ、私の真意を確かめるように見つめてくる。
「はぁ、もういいやっ。僕もう疲れちゃった」
「ごめんね」
「何で謝るのっ。Aは……いや、良い」
フイっとそっぽを向いて、鞄からスマホだけを取り出した。
「これは預かるからねっ。今日はデートの約束だったけど、行くとこあるから。じゃーねっA」
部屋から出ていって、ガチャりと音が響いた。
鍵、付けられるようになってるんだ。
それもそうだよね。
逃げられたら困るんだし。
しばらく扉を見つめて、立ち上がる。
乱雑に放り投げられた飴を一本一本拾って、ベッドに並べた。
___それで良かったの?
分からない。
___乱数ちゃん、こんなこと望んでた?
分からない。
___今、あなたは何者?
A。
オネーさんじゃない。
* * *
___乱数ちゃんとなら、どこに行っても楽しいから。
姫宮A。
その名前を見たとき、一番にあの言葉を思い出した。
嘘偽りの無さそうな顔で、はっきり言い放っていた。
初めてって、どこに行ったんだっけ。
あの子は、どこで出会った?
覚えてないなっ。
気付いたらたくさんデートしてて、名前もあの日何でか思い出した。
名前なんて、覚える前にみんないなくなるのに。
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黒羽ひみと(プロフ) - みかさん» みかさん、コメントありがとうございます!完結させたのはかなり前なのですが、いまでも見つけて愛してくれる読者がいて嬉しいです。お気に入り登録もありがとうございました! (2022年8月6日 23時) (レス) id: eaec3a59f0 (このIDを非表示/違反報告)
みか(プロフ) - 久しぶりに夢小説で泣きました、、とても心を揺さぶられるお話でとても感動しました!迷わずお気に入り登録です! (2022年8月6日 0時) (レス) @page50 id: 668d506369 (このIDを非表示/違反報告)
アホの化身 - おかしいな?デスソース飲んでるのにめっちゃ甘いわ。その後に飴玉(ソーダ味)舐めたから味のパラダイスだわ (2021年2月24日 20時) (レス) id: 62410cc231 (このIDを非表示/違反報告)
黒羽ひみと(プロフ) - まもやろたおさん» ありがとうございます!完結したあとでも愛してもらえて嬉しいですっ。 (2020年4月20日 22時) (レス) id: 451dd01b35 (このIDを非表示/違反報告)
まもやろたお - 年甲斐もなく号泣してしまいました…この作品大好きです! (2020年4月20日 21時) (レス) id: 3edb1e3d90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒羽ひみと | 作成日時:2018年10月22日 10時