【ヒプマイ】私はただのオネーさん【飴村乱数】

20.願い ページ20

なんとなく……。

そう、なんだ。


「それで、ここは……」

「僕の家だよっ」


……うん。

うん？


「えーと、私は出られないの？」

「そうだよっ」

「ここは」

「僕の家っ」


小説？

好きな人の秘密を知って閉じ込める……ならまだしも、その人の家で？

ここから生まれる何か……それは無いか。


「分かった。乱数ちゃんがそうしたいなら、それでいいよ」

「……もっと抵抗とか無いのっ？泣き喚いたら出してくれるかもよっ。この鞄の中からスマホ取り出して、誰かに連絡も有りじゃないっ？」


さっき、乱数ちゃんは私が分からないって言ったけど……。

私には、乱数ちゃんが分からない。


「私にここにいてほしくないの」

「オネーさん……もうAでいっか。Aがどうしたいかを僕は聞いてるんだよっ？」


私がどうしたいか。


そういえば、乱数ちゃんは前回……いや、その前のときからそればかり聞いていた。

乱数ちゃんは、オネーさん相手には尽くし型で、願えば何でもしてくれる。

逆に言えば、何も願わないと何もしない。


でも、初めて会ったあの日、あなたは拒否した私を自分の意思で連れて行った。

私はそんなこと望まなかったのに。


「私は乱数ちゃんといれるならそれで良いよ」


___あなたは……私に何をしてほしいの……。

___なにって？

___こんな風に、連れて行って……私に何かしてほしいことがあるってことでしょ。

___僕はオネーさんといれるならそれで良いよっ。


きっと覚えてないんだろうね。

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