18.愛、恋、夢 ページ18
乱数ちゃんの手が離れて、それを持ち上げた。
私の、鞄……。
「Aオネーさんって、あのオネーさんだよねっ?前に遊園地行ったさっ」
黙って頷くと、やっぱりと声を弾ませる。
「これ、なーにっ?」
「!」
「桃味のチュッパチャプス、これって初デートにあげる味だよねっ」
そうだ。
初めて会ったその日にもらった味。
私の鞄を探って、それらを乱数ちゃんは取り出す。
「ぶどう、オレンジ、コーラ、メロン、キャラメル、ソーダ……」
味を確認しながら。
その腕を今度は私が掴んだ。
「?なーにっオネーさん」
「全部乱数ちゃんからもらった物だよ」
「……そうなんだっ。何で舐めてくれなかったの?嫌いな味だった?それとも、僕のことが嫌いっ?」
「……舐めなかったのは、私が弱かったから」
そう言うと、乱数ちゃんは若干眉根を寄せる。
「オネーさんってよく分からないよねっ。何も要らないって顔して、物欲しそうな目を向ける」
「……」
「僕なら全部あげられるよっ。愛も恋も夢も全部オネーさんが望むなら」
愛も。
___愛して。
恋も。
___好きなの。
夢も。
___乱数ちゃんの全てがほしい。
「望んだらもらえて、望まなきゃもらえないものなら、私は要らない」
それはねだるものじゃない。
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黒羽ひみと(プロフ) - みかさん» みかさん、コメントありがとうございます!完結させたのはかなり前なのですが、いまでも見つけて愛してくれる読者がいて嬉しいです。お気に入り登録もありがとうございました! (2022年8月6日 23時) (レス) id: eaec3a59f0 (このIDを非表示/違反報告)
みか(プロフ) - 久しぶりに夢小説で泣きました、、とても心を揺さぶられるお話でとても感動しました!迷わずお気に入り登録です! (2022年8月6日 0時) (レス) @page50 id: 668d506369 (このIDを非表示/違反報告)
アホの化身 - おかしいな?デスソース飲んでるのにめっちゃ甘いわ。その後に飴玉(ソーダ味)舐めたから味のパラダイスだわ (2021年2月24日 20時) (レス) id: 62410cc231 (このIDを非表示/違反報告)
黒羽ひみと(プロフ) - まもやろたおさん» ありがとうございます!完結したあとでも愛してもらえて嬉しいですっ。 (2020年4月20日 22時) (レス) id: 451dd01b35 (このIDを非表示/違反報告)
まもやろたお - 年甲斐もなく号泣してしまいました…この作品大好きです! (2020年4月20日 21時) (レス) id: 3edb1e3d90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒羽ひみと | 作成日時:2018年10月22日 10時