17.恐怖 ページ17
喧騒の中取り残されたお姫様は、フルフルと震えていた。
耳を塞いで、体を縮めて、助けてって。
その手を取って、その小さな耳に歌を届けたんだ。
夢いっぱいの歌を。
お姫様は王子様にでも会ったみたいに目をキラキラさせて、恐い人たちで溢れていた世界がたった一人に絞られた。
もう、お姫様を恐がらす他の声は聞こえなかった。
聞こえるのは心地の良い歌だけ。
あなたの歌だけ。
* * *
甘い香りが鼻を掠めた。
安心する、好きな匂いだ。
乱数ちゃんの匂い……。
ゆっくり目を開いて、目に入ったのは色とりどりの部屋。
ここは。
「あっ、やっと目を覚ましたんだねっ。Aオネーさん」
「……らむ、だ……ちゃん?」
「そうだよっ!ってあんまり大きな声出すと頭に響いちゃうかっ。僕回復は出来ないから、まだ頭フラフラしたら言ってねっ」
そう言われたら、なんだか目眩が酷い。
なんでだっけ?
確か、昨日……。
そうだ、私乱数ちゃんのリリックを聴いたんだ。
私は見ちゃったから。
乱数ちゃんの声を、知らない乱数ちゃんを。
「……っ!」
思わず動いた体。
けど、すぐに腕を強く掴まれる。
あの時とは違う冷たい手。
「そんな顔しないでオネーさんっ。僕、オネーさんの笑顔が好きだなっ」
屈託の無い笑顔でそう言い放った。
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黒羽ひみと(プロフ) - みかさん» みかさん、コメントありがとうございます!完結させたのはかなり前なのですが、いまでも見つけて愛してくれる読者がいて嬉しいです。お気に入り登録もありがとうございました! (2022年8月6日 23時) (レス) id: eaec3a59f0 (このIDを非表示/違反報告)
みか(プロフ) - 久しぶりに夢小説で泣きました、、とても心を揺さぶられるお話でとても感動しました!迷わずお気に入り登録です! (2022年8月6日 0時) (レス) @page50 id: 668d506369 (このIDを非表示/違反報告)
アホの化身 - おかしいな?デスソース飲んでるのにめっちゃ甘いわ。その後に飴玉(ソーダ味)舐めたから味のパラダイスだわ (2021年2月24日 20時) (レス) id: 62410cc231 (このIDを非表示/違反報告)
黒羽ひみと(プロフ) - まもやろたおさん» ありがとうございます!完結したあとでも愛してもらえて嬉しいですっ。 (2020年4月20日 22時) (レス) id: 451dd01b35 (このIDを非表示/違反報告)
まもやろたお - 年甲斐もなく号泣してしまいました…この作品大好きです! (2020年4月20日 21時) (レス) id: 3edb1e3d90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒羽ひみと | 作成日時:2018年10月22日 10時