【ヒプマイ】私はただのオネーさん【飴村乱数】

15.勇気 ページ15

財布に入った今月分、を見る。

どうせ今月はもう会えないんだし、少しくらい渡しちゃっても問題無いよね。


「このお金は元々使う予定があったんです。でも、もう終わったので……もらってくれませんか」


お金があったって。

愛は、買えない。


と、そこでガシッと手を握られる。


「！？……あ、あの……？」

「神……いや女神！いつか倍にして返す」


倍！？

いや、それよりも手、手を……。


あ、離れた……。


「よし！今お前は徳を積んだしきっと良いことあるぜ。お前の悩みは解決する！」

「そう、ですね」


する、かなぁ。


どちらかというと乱数ちゃんとのデートに使うお金を渡しちゃったし、むしろ……うん。


まぁいいか。

そうだね。

解決させればいい。


「私はそろそろ行きますね」

「お、そうだな！今日はサンキュー。あ！あと俺の名前！有栖川帝統っていうから！」

「！……私は、姫宮Aです！」


有栖川帝統、か。

偶然ってすごい。


……けど楽になった。

じゃあまずは、連絡するところから始めよう。


乱数ちゃんの番号を打って、スマホを耳に当てる。


『はいはーいっ！飴村乱数だよっ』

「乱数ちゃん？」

『あ、やったやったオネーさんからだっ。今日はどうしたの？』


ジワリと心が温まる。


「来月、乱数ちゃんとデートがしたくて」


発する言葉はそれだけで充分だったの。

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