【ヒプマイ】私はただのオネーさん【飴村乱数】

01.甘い ページ1

恋は甘くて幸せなもの。

デートの待ち合わせをするカップルたちは、相手に会えると幸せに笑った。


「オネーさんっ」


そして私も、彼の姿が見えて幸せに笑う。


「えっへへ、今日も誘ってくれてありがと。すっごく嬉しいよっ」


彼の笑顔は、いつもと変わらない無邪気な笑み。

私は彼のオネーさんの一人。


「ううん、乱数ちゃんが来てくれて私も嬉しい」


私にとっての乱数ちゃんは男の一人ってわけじゃない。

私は乱数ちゃんを心の底から愛してる。

昨日会えなかったのが他のオネーさんとのデートだった事を知ってるし、明日はまた別の人の隣を歩くんだろう。

それでも、私は乱数ちゃんが好き。

嫉妬はするし、本当は私だけを見てほしい。

だけど乱数ちゃんの生き方を否定出来るほど、まだ彼の心に踏み込む事が出来ていない。


「わぁーいっ。今日はとびっきり楽しい日にしようねっ」


乱数ちゃんの言葉の一つ一つは嘘に塗れてる。

それに憤りを感じない訳じゃない。

だけど、そんな事がどうでも良くなるくらいには乱数ちゃんが好き。


「うん。じゃあどこに行こうか」


だから私は今日もただのオネーさんを演じよう。

それが今の私に出来る唯一の気遣いだから。

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