繋×１ ページ1
「とりあえず、死ぬ前に何かしたい事ってあるかな」
飲み物を手にしながら、男性は落ち着いた声を室内に響かせた。
見た事も聞いた事もない不思議な一室。
私以外には、男性が一人と、女性が二人いる。
未だに、なんで自分はこんな所にいるんだろう……と、私は飲み物を口にもしないで身震いした。
女性二人は、男性の問いに対して無言で首を振る。
「そう、でも、本当に僕なんかでいいのかな？心中するんだったらもっと沢山いるんじゃないの？」
「いないから死ぬんです」
「そりゃ正論だ」
まず、何で彼女たちは死のうとしているのか。
もし本当に死のうとしているなら、何でこんな所で会話に花を咲かせているのか。
それが全く理解できないし、この男性からは死の匂いを欠片も感じない。
その上、"誰にも気付かれないよう飲み物に毒物を混入させる"技術を持っている。
外の世界との繋がりを持ちたくて逃げてきたのに、わからないことばかりだ。
「でさ、三人とも、死んだ後はどうするのかな？」
――時は数刻前に遡る。
「すみません！どこか遠いところまで走ってくれませんか？」
車を呼び止めて、運転席に座る男性にお願いした。
男性は黒いスーツを着ていて、警察官と少し雰囲気が似ている。
一瞬、自分を知っているかもしれないと警戒したけれど、促すように後部座席を見た。
「ありがとうございます！」
頭を下げて、中に入り腰を下ろす。
車が走り出したことを確認して、安堵しながら窓から外の風景を眺めた。
十六年間、過ごした土地。
十六年間、出歩く事の無かった街。
なんの思い入れもないそんな故郷とバイバイして、新しい世界に思いを馳せる。
『何か』と深い繋がりを持つために。
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黒羽ひみと(プロフ) - メロン?さん» ありがとうございます！デュラララは本当に面白い作品なので、今でもハマる方がいて嬉しいです。楽しく更新していきますね！ (2020年12月23日 22時) (
レス) id: a189c1d2cd (このIDを非表示/違反報告)
メロン?(プロフ) - 自分が小学生の時からあったの知っているのですが最近ハマりだしまして……あまり投稿が少なくって見出しました！！頑張ってください！！ (2020年12月23日 19時) (レス) id: 64126dbfa3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒羽ひみと | 作成日時：2020年12月23日 12時
