秘密という名のスパイスを。 (ページ30)

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story 29** ページ30

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今私の目の前にいる永瀬はあまりにも小さくて、弱々しくて。

必死にいつもの自分を取り戻そうとしてるんだろうけど凄く無理してるのが分かる。

紫「廉！！Aに突き放された俺に言ったよな？」

怒りが落ち着いたのかゆっくりと紫耀が私の横を通過し、永瀬に近付く

廉「何を」

紫「嫌われたかもって悩んでた俺にそんなの分かんないって、だから伝えろって。今度は廉が伝える番だろ」

廉「言えっかよ。ペット呼ばわりして命令して、あげく彼氏の前で略奪宣言。嫌われる要素しか無いやん」

紫「そんなもん分かんねぇだろ！！実際、飯だって作らないって選択あっただろうし、廉に命令されんのが本気で嫌だったら断るだろうし。違うか？」

紫耀の言葉はなんだか靄がかかっていてはっきりと見えなかった私の永瀬に対する想いを照らしてくれるような言葉だった

紫「不器用でめちゃめちゃ歪んでると思うけど、好きで好きでどうにもなんなかったから命令してでも繋ぎ止めてたんだろ？」

廉「紫耀……」

紫「分かるから。俺も同じAを愛し続けた1人だから。それに廉の親友だからな」

廉「そうやな、ちゃんと伝えないと後悔するかもな」

私のことなんか気にも止めてないんじゃないかって思うほど熱い友情で語った2人には

さっきの様な睨み合う関係は無かった。

廉「A…？」

「ん？」

廉「今まで沢山意地悪してごめんな……
俺、Aのこと、ずっと好きやったで」

「ありがとう。嬉しい」

廉「ん。でも紫耀の彼女やし、略奪宣言したばっかであれやけど、俺のことはもう忘れてええよ。暫くは飯も食いに行かん。紫耀の友達の1人として側にいる」

一件落着、誰もが思ったであろうそのとき、紫耀がまた大きく声を上げた

紫「お前はそれでいいのかよ！！」

「紫耀？？」

紫「そんなんで諦めつく気持ちじゃないんだろ？？正々堂々勝負したかったんだろ？」

廉「いや、でもさ…… 振られたやん？今。」

紫「1回振られたくらいで諦められる気持ちなら俺とAが付き合ったときにとっくに諦めついてんだろ」

確かに、さっき理華も言ってた。

自分の止められない気持ちに腹立ってるのは廉自身だって。

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