秘密という名のスパイスを。 (ページ29)

今日:4 hit、昨日:1 hit、合計:42,015 hit

story 28** ページ29

Ren Side

いつかはこうなるって分かってた。

紫耀が人気者で、そんな人気者の彼女疑惑を女子たちがほっとくわけなんかなくて

だから絶対に隠し切れないってこと。

それでも隠し通して欲しかった。

こうやって、実際に、皆が知るところとなった今、俺は焦ったんだ。

あいつらが公認カップルになってしまったら、俺は本当にただの友達で終わってしまう

Aにとって、本当にただの嫌なやつになってしまう、と。

Aが俺にそういう感情なんか無いってことは分かりきってる。

あいつはずっと紫耀が好きなんだから。

海人がAと普通に話せるようになったって知ったとき、内心あいつの軽さに期待した。

あいつなら爆弾発言をいとも簡単にしてしまうだろうと分かっていたから。

そして今、本当にそうなって分かった。

Aが完全に平野紫耀の女になることを本気で阻止したいと思っていることに。

だからあんな宣言まで勢い任せで。

Aのことになると俺ってどうも調子が狂う。

勝てない勝負はしない主義だし、
実らない片想いだってする予定じゃなかった。

あいつのことになると俺が俺を保てない。

「永瀬！！」

廉「A。来ていいのかよ」

「ごめんね！私、多分あなたの気持ち分かってた」

廉「は？」

「前に抱き締められたとき、あのとき、ちょっとだけそんな気がした。他にも沢山思い当たることあって、だけど気付かないフリしてた」

廉「そんなん全部お前をからかうための演技に決まってるやろ」

「違う！！違うよね？？廉、本当のこと、言って？」

なんなんだよ、こんなときに呼び捨てして来るとか。

しかも後ろに今にも止めに入りたそうな彼氏いるのにそれにも気付かないで俺に向き合ってさ

廉「なんなん、お前。俺のペース乱すなや」

これが精一杯、今出来る俺の精一杯の俺らしい言葉。

-