story 18** ページ19
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まるでごく普通の日常生活かのように私は永瀬と自分の分の食事を作り
永瀬は私の部屋のベッドでくつろいで漫画を読んでいる
「ねぇ、永瀬!さっき平野くんと私のこと話してたでしょ」
廉「彼氏に対しての愚痴がうるさい女の話はしたけどお前の話はしてへん」
「なにそれ。絶対私のことだったじゃん」
廉「でもさ、紫耀は他の女との関係切れって言われても大丈夫なやつみたいやで」
「それは分かったけどさ……」
本人が良くても、平野くんのファンがそれを許すと思いますか。
廉「嫉妬しまくって辛くなって別れればいい」
またしても呟かれた言葉は、いつものからかうような言葉ではなくて、どこか本心のような呟きで
「ほんとに言ってる?」
廉「さぁな」
悪魔な永瀬はまた姿を消して、切って貼ったような笑顔を私に向け、すぐに漫画へと視線を戻した。
私が平野くんと付き合うようになってからというもの、永瀬がこんな表情をすることが増えた
寂しいのに寂しくないって強がってる子供みたいな、そんな表情。
「永瀬、大丈夫?」
廉「なにが」
「何か、たまに不安そう?寂しそう?な表情する」
廉「気のせいやろ」
ほら、また、切って貼った笑顔。
「ほんとに?悩んでることとかあるなら聞くよ?」
廉「お前にだけは頼らねーよ」
無理矢理広角を上げいつもの表情を作った永瀬は私に背を向けて漫画に視線を戻した
だけど、その背中はどこか小さく感じて、思わずその背中に手を伸ばした
廉「ばーか…… なんやねん、お前」
気付けば永瀬の腕に包まれていて、いつもの永瀬からは想像も出来ない弱々しい声が届いた
「永瀬……??」
廉「なんで紫耀やねん……」
永瀬の意外すぎる姿に、拒絶することも、受け入れることも出来ずにただ立ち尽くした
廉「悪い。自分のとこ戻って寝るわ」
我に返ったのか逃げるように隣の部屋に戻って行った永瀬。
耳に残る永瀬のらしくない呟きと、その余韻で何も考えられなくなった。
寝よう………
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作者名:なーちゃむ。 | 作成日時:2019年12月30日 4時