story 10** ページ11
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めちゃめちゃ早くに起こされた。
廉「さっさと行け！王子様がお待ちですよ、お嬢様！」
半ば強制的にカバンを外に投げられ、突き飛ばす様に家を出された。
そして鍵を閉められた。
そこ、私の家なんですが……
なんて言葉はさて置き、王子様が待ってるとは何ぞ？？
と思い、取り敢えず乱れた制服を整え学校へと急ぐ。
紫「おはよ」
早朝の教室、窓枠によりかかっている平野くん
「お、おはよ……」
紫「…………。」
「…………。」
続く沈黙。気まずさに押し潰されそうで。
「どうかしたの？？」
紫「 …… ごめん！！」
突然勢い良く頭を下げる平野くん。
「えっと……」
紫「まさかAに見られると思わなくて…俺取り乱して…… かっこ悪いとこ見せて…… しかも、廉からあのあと泣いてたって聞いて…… だから、ごめん……」
「謝らないでよ……」
別に平野くんが悪いことをしたわけじゃない。
ただ、私が勝手に舞い上がって傷付いただけ。
紫「やっぱり駄目だった。全然俺の身体が、ん？お腹が？納得してくれなかった」
お、お腹？？
「え？」
紫「腹痛いの治らんかなーって思ってあの子抱き締めてみたけど全く治まってくれなくてさ……」
「はい？？」
この人は何を言っているのだろうか……？？
廉「そいつ、腹弱いねん。でも、人の温もり感じると治まるんやと」
「な、なんだそれ！」
廉「お前のこと抱き締めた理由もそれ。」
「え、じゃぁ、初めてのハグの日、平野くんが調子悪かったのは？」
廉「腹痛やろ」
「なの？？」
一通りの説明を途中から現れた永瀬から聞き、平野くんに確認するとこくり、と頷かれた
つまり、あの子とのハグには男女的な意味は無くて、ただ平野くんの腹痛を治すためだったと。
てことは、私とのハグもそういうこと？？
紫「で、でも！1つだけ言わせて欲しい」
永瀬の足音が遠ざかっていき、平野くんの真剣な表情にまたしても鼓動速くなる
「な、なに？」
紫「俺……その、ずっとAちゃんのことが好きだった。」
「え……」
心臓の奥に何かが刺さった様な気がして、涙が溢れた。
「私も…… 好きです」
紫「ほんとに？」
私の頷きを合図にそっと唇が触れた。
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作者名：なーちゃむ。 | 作成日時：2019年12月30日 4時
