非モテ.49 ページ19
「そういえばさ、あの時のアレ、なんかプロポーズみたいだったな」
机に向かい、プリントにペンを走らす菅原。
三年で勉強をしよう(私が教えて貰うため)と言うことになり、当日を迎えたわけだが、他の奴らはドタキャン。
つまり、私と菅原の二人きりだ。
不機嫌そうに頰杖をついて、投げやりに数学の問題を解き続ける菅原に、なんだか少し気まずくなって、苦し紛れに言った言葉。
どんっと鈍い音がした後、下ばっかりを見ていた彼の瞳が、私の目を捉えた。
「・・・るさい馬鹿」
そう呟いた菅原の顔が、心なしか赤いことに気づき、私も目をそらした。
「みたいじゃなくて、俺そのつもりだったから」
「さいですか」
「ちゃんとわかってる? 」
「・・・つまり? 」
ああもう、と痺れを切らしたように、菅原の形のいい指が、私の頰をそっとなぞる。
椅子がガタリと動く音が、空気を震わせた。
「好き、俺がお前を幸せにする、嫌な思いはさせないから、大好きだ」
“ありがとう”
肝心な時、言いたい言葉が言えない私には本当うんざりしてきた。
「俺は、プロポーズのつもりだから」
断られちゃったらどうしようもないけどな
ばつが悪そうに髪を掻きながら、菅原は椅子へと戻った。
暖かかった指の感触に、名残惜しさを感じている自分に、物凄く驚く。
いや、しまい込んでいた思いが、今更になってふつふつと湧き上がってくるのだ。
「・・・・・あのさ、菅原・・・私と幸せになってください」
「言ってくれると思った」
安心したような、だけど泣きそうな顔で菅原が笑った。
ああ、今私は幸せだ。
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おかか - 及川さんのところ泣いちゃいましたすごく素敵な作品でした!!ありがとうございました!!!! (2020年7月12日 19時) (レス) id: 0ecde9d0b0 (このIDを非表示/違反報告)
すいか(プロフ) - あるふぁ@猫さん» ありがとうございます!頑張らせていただきます。 (2016年5月13日 23時) (レス) id: 9503c33a3e (このIDを非表示/違反報告)
あるふぁ@猫(プロフ) - 泣きました(´;ω;`)すごくいい話ですね!更新頑張ってください! (2016年5月12日 20時) (レス) id: 7a1a6ed2e9 (このIDを非表示/違反報告)
すいか(プロフ) - ミケ猫さん» ありがとうございます!(*゚▽゚)ノ (2016年3月18日 19時) (レス) id: 9503c33a3e (このIDを非表示/違反報告)
ミケ猫(プロフ) - すごく面白いです!更新頑張ってください! (2016年3月2日 20時) (レス) id: b22aec6e7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すいか | 作成日時:2015年8月22日 13時