ミュウツーの妹ちゃん:プロローグ ページ11
ミュウツーは目をギラギラと光らせ、己を作り出した人間への逆襲を決意した。
──ーーーー
「……?」
そんなミュウツーの背後で、何か音が聞こえる。
ミュウツーは振り返った。
──ーかーー
誰だ。何を言っている。
ミュウツーは困惑した。自分が爆発した研究所から、知らない声が聞こえる。
──ーーえり
一歩ずつ、ゆっくりと前に進む。
声がはっきりと聞こえた。
──おかえり。
『!?』
突如、瓦礫の隙間から光が漏れだす。
その光は上の瓦礫を吹き飛ばした。
そこにいたのは、一人の人間。
横たわる人間の周りに、水色の膜が張られている。
それはミュウツーが近づくと同時に、パリン、と音を立てて割れた。
ゆっくりと目を開ける。
やがてその目が、ミュウツーを捉えた。
『…………』
「…………」
お互い無言で時が過ぎる。
人間が起き上がり、口を開く。
「にいさん……?」
『……兄さん?』
それは自分の事を言っているのか?
何を言っているのか分からなかった。
『お前は、私の妹なのか……?』
ミュウツーは少女に問いかける。
ぼー……と、呆けたのように己の顔を見ている少女は、ゆっくりと、確実に言葉を繋いだ。
「うん……多分、そうだよ」
『多分?』
「ん……私ね」
そうして少女は過去を話し始めた。
前は人の子だったこと。
遺伝子の一部を組み換えて"創り直された"存在であること。
自分が人なのかポケモンなのか分からないこと。
ミュウツーが兄であることしか覚えていないこと。
これを聞いたミュウツーは驚いた。
それと同時に、歓喜した。
自分と同じ存在がいる。
ミュウツーは人に創られた。人ではない。しかし創られた為ポケモンでもない。
少女も同じ。
人に創り直された。ならば人とは言えないだろう。そして、ポケモンにも成りきれていない。
なんとも言えない感情が沸いた。
あとにこれは保護欲だと知る。
『……名前は?』
「名前は……ミユ、だよ」
ミユ……ミユ。
ミュウツーは、何度か確かめるように繰り返し名前を呼ぶ。
そして膝をついてしゃがんだ。
『お前は私の妹だ』
「……?うん」
『なら、共に行こう。そして───』
これは、黙っておこう。
何故かミュウツーの保護欲がそうさせた。
「……兄さん」
『なんだ』
「よろしくね」
『……あぁ』
二人は額を合わせ、ゆっくりと目を閉じた。
◆◇◆
今考えたらミュウツー性別不詳だったわ。
不覚。
これで文字数ギリギリってマ?
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:マリー | 作成日時:2020年5月14日 21時