目が行く話

雨宿り ページ1

何故こんな事になったのだろう
何故私は今
学生時代片思いし続けていた彼とホテルにいるのだろう
ビジネスホテルじゃなくて、大人なホテルに

＊

8月中旬
中学の同窓会の案内ハガキが届いた
初めは行く気ゼロだったがふと、彼の事を思い出した

ずっと好きだった
今でも時々思い出す彼の事

『めんどくさい』そんな事を言って来ないかもしれないけど
もしかしたらいるかな
なんて軽い気持ちで出席する事にした

結論から言うと彼は来ていた
男女で別れての席だった為会話は出来ず
そのまま解散時刻となってしまった

二次会にこのまま行く話も上がっていたが私はその場を抜け帰宅する事にしたのだが

会場を出てすぐ彼に話しかけられた
どうやら彼も二次会には参加しないらしく駅まで一緒に歩く事になった

＊

しばらくして
ポツポツと降り出した雨
次第にそれは本降りとなっていった

どこか近くに雨宿りできる場所はないかと探した結果がここだった
いや、やましい気持ちなんてない。うん

お酒も入ってちょっと平行感覚無くなってたし、あまり距離を歩くのも危ないし、と自分に言い訳

先にシャワーを浴びた私は落ち着きがなく部屋をキョロキョロと見渡していた

こういう場所は初めてな為とても新鮮だった
なんか色々ヤバそうな器具やらあるが見なかったことにしよう

＊

それにしても疲れた
お酒のせいもあるのか眠し
ちょっとぐらいならベッドで寝たっていいよね
折角来たんだし
まだシャワー浴びてて出てこないだろうし

数分だけだから
ちょっと仮眠するだけ＿

＊

今オレは学生時代に好意を寄せていた奴とホテルに来て現在シャワーを浴びている

…何故こんなこんな事になってしまったんだろう
けしてやましい気持ちはない。断じて

いや、でもこういった場所に来たんだし、やはり男のオレから誘うのが
っていやいや、何考えてんだ。ダメだダメだ
そんな考え直ぐに捨てろ！消え去れ、オレの本能

そう、ただの雨宿り
たまたま近くにあったのがここだっただけ
ただ、それだけだ
こんなにも胸が高鳴るのは
鼓動が早いのは、きっと普段飲まない酒のせいだ

気持ちを落ち着かせるため少し長めの風呂になってしまった
会うのが気まずいからとかではない。多分
少し動揺してるのは、こういった場所が初めてだからだ

とりあえず戻ろう
いつまでも脱衣所に居る訳にもいかない
普通に。普通にすればいいだけだ
何も難しく考える必要はない

ふぅ
と大きく深呼吸をしてオレは脱衣所を出た

＊

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