脇目も振らない話 (ページ16)

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初恋 1 ページ16

それが恋だと知るのに時間はかからなかった
きっかけは、きっとあの時＿＿＿＿＿

高校の入学式
自分の教室の場所が分からず、迷子になっていた
同じ中学の子が居ないような高校を選んだ為、気軽に聞ける相手もおらず困っていた時

？｢そこ、邪魔なんだけど。つーかさっきからウロウロと何やってんだよ、あんた｣

そんな棘のある言い方の男の人の声がした
正直に言うとその時の印象は最悪だった

貴方｢ご、ごめんなさいっ…えっと、自分のクラスの場所が分からなくて｣
？｢…どこのクラスだよ｣

貴方｢えっと…1-Aクラスなんですけど…｣
？｢奇遇だな。オレも同じクラスだわ｣

それだけ言うと彼は黙って歩き出す
コレってもしかして一緒に着いてこいって言ってる？
とりあえず私は彼の後ろに着いて行った

＊＊

彼は迷うことなくクラスへとたどり着きなんの躊躇もなく教室へ入っていこうとする

貴方｢あのっ！ありがとうございました！｣
？｢別に。オレはただ自分の教室に来ただけだし｣

ぶっきらぼうに。面倒くさそうに、そう答えた
その時の私は嫌われたのだろうか？と思ったが
今思えばそれは彼なりの優しさなのだと思う

その時からだ
彼を無意識に目で追うようになったのは

でもその日以来話す事はなかった
席も離れていた事もあったが、彼の隣にはいつも楯山文乃ちゃんという子がいた

彼女、なのかな
お似合いだな

そうやって忘れようとした
このまま話すことも無く過ごしていけばきっと忘れられる。…はずだった

神様は意地悪だった