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10歳、4年生の秋に入った頃。
杏姫の通う学校に転校生が来た。
名は
また人に対して平等に接している彼女はもちろん杏姫と接することもあった。
そのため“南雲杏姫とは関わったらダメ”という暗黙のルールを壊していく様な存在だった。
常に一人でいる杏姫に興味を持ったのか心配になったのか、彼女は杏姫にかなりグイグイと関わりに来ていた。
当の杏姫は未だに人と関わることに恐怖心を持っており、接するにも多少表情が曇ることが多かった。
だが、彼女の性格や優しさから杏姫は心を開き始め、次第に“親友”と呼べる存在にもなっていた。
そこから少しずつだが杏姫の心には光が灯り始め、人と関わることが人並みほどではないが増えていった。
そして11歳。
天葉がハマっていた“アイドル”を杏姫は初めて目にする。
一目惚れだった。
ステージの上で輝くアイドル。
誰にでも笑顔で対応するアイドル。
そして、誰もが好きになれるアイドル。
その日から“アイドル”は南雲杏姫という女の子を変えた。
天葉が来てから杏姫は驚くほど明るく、接しやすくなっていた。
だが12歳、小学校を卒業した直後のこと。
天葉と杏姫は喧嘩をした。
今まで喧嘩などしてこなかった二人には初めてだった。
きっかけはとても小さなことー杏姫が自分自身のことを少し下に見ていたことーだったが、このことから二人は仲が悪くなってしまった。
お互いに自分が悪いと自覚しており、お互いに“仲直り”をしたい、そう考えていた。
だが、なかなか踏み出せずついには元々転勤族だった皐月家は引っ越してしまった。
杏姫が知ったのは引っ越した直後だった。
中学に入ってから、杏姫は天葉のこともありなかなか中学に慣れずにいた。
どんなに悔いても天葉にこのことは伝わらない。
それでもどうにか仲直りがしたい杏姫はとあるページと出会った。
それがアイドルー後に大人気となる*your-dolls*ーのオーディションだった。
一瞬「これだったら…」と脳を過ぎった。
だが、杏姫の性格上勇気が出ず応募できない状態が続いた。
そして〆切の日が来た。
杏姫は最後まで悩みに悩み続け最後の一手ー応募ボタンーがなかなか押せなかった。
杏姫が席をたった直後、杏姫の母ー満月ーが杏姫のパソコンを見たのだった。
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作者名：綺星-kirara- | 作者ホームページ：http://commu.nosv.org/p/4tuki3
作成日時：2023年3月9日 15時
