無限の未来 17th season (ページ6)

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806話ページ6

【ジェシー】

「ジェス…“大丈夫”って言ってほしい」

もう一度ステージに立つ前、Aが俺に、そんなことを言った。

その顔は、言葉の割には不安そうじゃなくて、安心した頭の言葉じゃないのかなって思う。

赤「Aなら、大丈夫」

「…うん」

赤「あと…あのメンバーなら、大丈夫だよ」

「えっ…？」

赤「Travisは、他のメンバーを引っ張ってくれる。なにわ男子は、関西をリードしてくれると思う」

俺がツラツラと並べる言葉に、目をまん丸にしてこっちを見るAが、少しおかしいけど、俺はそのまま言葉を続ける。

赤「わかんないよ？わかんないけど…Aが思ってるような、そんなことには、ならないと思うよ」

赤「間違っても、今日のこの瞬間を…地獄絵図だなんて、言わせない」

泣き虫のAは、俺のその言葉に、また泣きそうになったけど、すぐにグッと天を見上げて、強く拳を握った。

その手が、足の方へ移動したのを見て、俺はAの手を引いた。

赤「A？…傷つけないの」

「んっ」

赤「ほら…行こう。みんな、待ってるよ」

ジャニーズJr.として、他のグループのメンバーとステージに立てるのは、もしかしたら…もう最後になるかもしれない。

それぞれ、いろんな思いを持っていることは、分かりきってる。

もちろん、Aも。

赤「A、大丈夫だよ。俺たちは、なんだってできる。だから、自由に楽しもう」

俺の言葉に、強く頷いてこっちを向いたAは、泣いてもいないけど、笑ってもいない。

ちょっとだけ複雑そうな顔をしたけど、まっすぐ俺の方に拳を突き出した。

その小さな拳に、自分の拳を合わせて、それから…両手でしっかり包み込む。

「なんやねん…」

赤「ん？離したくないなぁって」

「ふふっ。じゃぁ、一生離さんといてや？」

再びステージに立つAは、とても堂々と、そして凛としていた。

涙を流していた時とは、まるで別人。

カッコよくて…ちょっと気を抜いたら、彼女の世界に溶け込んでしまいそうな感じもある。

赤「もう、絶対いなくなんなよ」

「ん？…ははっ。なんないって！」

そうやって、Aは弾けるように笑った。