無限の未来 17th season (ページ48)

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848話ページ48

「夢のような時間でした。今でも、覚えてます。甲子園の、匂いも…音も全部」

結局、最後の夏に甲子園へ行くことはできなかったから、あのたった1試合だったけど、それでも。

“夢を掴み取る”

その言葉を、とても強く実感した3年間だった。

「初めて、ジャニーズというか、自分がそれまでいた世界を、外から見られたのも良かったです。余計、ここに戻って、掴まなきゃいけないものがあるって、直感だけど…そう思えたんです」

左足を失うまで普通科にいた時は、つい少し前まで自分のすぐそばに居た彼らに、キャーキャーと歓声をあげるクラスメイトもいた。

それまで当たり前にいた世界がどんな場所だったか、初めて私が思い知ったのはこの時だった。

目を背ければ背けるほど、戻りたい気持ちも、ここでもう一度、無限の夢を追いたい気持ちも強くなって、だから…そのために力を貯めると心に決めた。

「簡単じゃなかったです。本心では、全然病気のことも受け入れられてなくて。中途半端なまま戻っちゃったから…メンバーには迷惑かけました」

お世辞にも、これまで通りのレベルとは言えないダンス。

それどころか、再発を繰り返して、そのたび、まともに生活することさえもままならなかったり。

自由の利かない体はポンコツで、ぶっちゃけ、迷惑しかかけてないんじゃないかと思う。

「これは完成系じゃないって、言ってくれたんです。メンバーが。もう一度7人でって決めてから、6人だけのステージがあって…」

人生で、トップクラスに入るぐらい悔しかった。

舞台の袖から、ステージに立ってパフォーマンスをする彼ら6人を見て、悔し泣きをした。

「悔しくて、ワンワン泣いたんですよね。でも…同時に、こんなすごい6人が、自分を信じてくれたってことが嬉しくて…」

何度再発をしても、苦しい思いをしても、彼らはいつだってあの時と同じように、まっすぐ私を信じてくれている。

それは今も変わらなくて、だからこそ、私も彼らを信じて、ここまで続けてこられた。

「うわ、気持ちいい～！懐かしい！」

汗と、土と、少しだけマセた香水の香り。

あの時と変わらない匂いが、優しく私を包んでいた。