無限の未来 17th season (ページ36)

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836話ページ36

【北斗】

珍しい慎太郎の体調不良から数日。

幸い、絶対に慎太郎が自分を責める結果にはしたくないと、俺が到着してすぐ彼から離れたAは、体調を崩すこともなかった。

「んへへっ」

黒「お前、ほんとドライブ好きだよな」

「だぁって、ずーっと話しとっても怒られんやん？」

緑「よく言うわ、口数少ないのに」

Aは安定の助手席で、ずっと話してても怒られないと言う割には、みんなの話をニコニコ聞きながら、コンビニで買ったおやつを頬張ってる。

青「個人個人の出会いはさ、もう10年くらい前になるじゃん？1番古いのは…」

「はぁ～い。2002年入所で、2004年から東京」

青「ダントツだね。A、きょも、ジェシー、慎太郎、俺、北斗、高地の順番かな」

それぞれとの出会いの話は、これだけ一緒にいても、まだ知らないことがあるものかと思うほど。

Aが関東に来てから、俺が入所するまでの約5年間の話は、なかなか興味がある。

桃「俺、Aに嫌われてたんだよね」

「嫌ってはない、嫉妬してただけや」

赤「俺は懐かれてたよ？」

「懐かれてたて。同い年の子おらんかったからね。ジェスが入ってきた時は嬉しかったなぁ」

前やら後ろから聞こえる声に耳を傾けながら、脳内で小学生だった幼いメンバーを思い浮かべる。

樹がジェシーに敬語をやめたのは、Aも同じグループで先輩なのに敬語じゃないから、不公平だしタメ口でいいよって話だとか。

何だか滑稽だな、なんて思いながら話に耳を傾けていれば、“北斗が入ってきた時のことも覚えてるよ〜”なんて間延びした声が聞こえてくる。

青「俺も覚えてる。滑舌悪いし、静岡の訛りめっちゃ残ってた」

「分かる」

黒「あなたが言うんじゃないよ。バリバリ関西弁じゃない」

青「Aは、慣れた人の前でだけ訛ってる。他のところでは、ちゃんとしてるから、多分無意識」

そして旅の目的地、大江戸温泉。

Aが入院してた時、唯一外泊の時に一緒に来たのがここだったから、今日のドライブでここは外せない。

ウキウキした顔のAがいつもより少し幼く見えたのは、無意識に、あの日の面影に重ねているのかもしれないな。