無限の未来 17th season (ページ27)

今日:36 hit、昨日:14 hit、合計:73,280 hit

827話ページ27

【北斗】

黒「がんばった、がんばった。A、よくここまで耐えたね」

青「こんなとこで座り込んだら…風邪ひく」

なんとか本番を終えて、カーテンコールまでしっかりとやり切ったAは、その場に崩れるかと思ったけど、思いの外しっかりしていた。

けどそれは、他の演者たちの目が届くところまでだったようで、着替えを済ませて楽屋へ戻れば、別部屋で着替えて先に戻ったであろうAが、入り口の少し手前でしゃがみ込んでいた。

黒「Aっ！しんどかったね…俺のパーカーかけるよ」

「ﾋｭｰｯ、ｾﾞｪ…ﾋｭｰ、ﾝｹﾎｯ、ｹﾎｹﾎｯ…」

青「あら…喘息出てるな。吸入は…1回してるっぽい。えらい、えらい。もう1回だけ頑張ろう」

樹の誘導に合わせて、一緒に吸入できている様子を見ると、意識はあるし、頭も働いてるみたいだから、まだ安心できる。

少し落ち着いてきたAを見て、京本があったかい飲み物を用意してくれたり、俺が周りを見れていなかった間にも、メンバーはテキパキと動いていた。

「ほく…と…」

黒「ん、飲めた？どうする、横になる？まだちょっときつい？」

緑「ふはっ、北斗焦りすぎ。質問ばっかだよ」

慎太郎やジェシーに笑われながら、こいつを本番に出すと腹は括っていたのに、それでも随分不安で、焦っていたんだとようやく気付く。

まだしんどさの残るAを、後ろから抱きしめるように座らせ、胸に寄りかからせれば、まだゼロゼロとした呼吸は伝わってくるけど、発作が起きていた時よりは、楽そうか。

病院寄って帰る？という高地の言葉に素直に頷いたあたり、本当に本番で全て出し切ったんだろうな。

黒「このまま眠れそうなら寝ちゃいな。病院着いたら起こすね」

青「北斗、その体制でいける？」

黒「うん、いい。このままのがA、安心するから寝やすいっしょ？あ、ブランケットだけちょうだい」

楽屋から出て車に乗り込んで、俺らがそんな会話をしているうちに、Aはもう夢の中。

舞台でも、そのあとのライブステージでも、発作でも体力を全開で使ったAは、結局病院についても眠ったままだった。

明日も、無事に出られますように。