無限の未来 17th season (ページ26)

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826話ページ26

【ジェシー】

18:00からの本番までは、あと3時間。

樹に宥められて、薬を飲んでなんとか眠りについたAを横目に、俺たちは話し合い。

なんとか本番に出してやりたい気持ちがないわけではないけど、高熱で意識もまともに保てない姿を見ている以上、怖さが勝る年上組。

黄「17:00になっても熱が下がってなかったら、それはもう有無を言わさず出せない」

青「さすがにそれは、俺だって説得するよ」

あーでもない、こーでもないと、15人の男たちがそれぞれのAへの思いをぶつける。

当の本人は、さっきまでよりは落ち着いた呼吸で、楽屋の隅にコロンと眠っている。

話し合いが進めば進むほど、意見は真っ二つだった。

そこに“ガタン！”という大きな音と、目黒の“危ないっ！”という声が響いたのが、ほぼ同時だった。

赤「ちょ…！ビックリした…急に起きたら危ないよ、A…」

「みんな…行っちゃったかと、思った…」

青「ごめん、ごめん。ソファおいで」

起きたら周りに誰もいなかったことに、体調悪いのも相まって、頭真っ白になったんだろうな…。

横になるのを嫌がって、樹の腕の中でブランケットに包まり、背中をトントンとされるAが、久々に小さな子どものように見えた。

きっと今も眠れてはいないんだろうけど、固く目を閉じて樹に体を預ける姿。

出来ることなら、俺がかわってあげたかった。

俺だったら、何としたって…耐えて押して出るのに。

黄「あっ… 俺だったら出る…Aと、同じ道を選ぼうとしていた」

思わず声をあげた、“反対派”の高地。

自分たちなら、絶対に“休む”なんていう選択肢は取らないのに、Aのこととなると、彼女が壊れそうで怖くなってしまう…と。

これまでだって、何度も反省した俺たちのエゴ。

赤「こんな風に、出す出さないって揉めるんじゃなくて…どうしたらAが出れるか、出れるように最善尽くす方に時間使いたい」

マンズ兄さんたちは心配から、最後まで納得はいってなさそうだったけど、6人全員で頭を下げて、なんとか了承してもらえた。

樹の腕で眠るAはまだ少し苦しそうだけど…本番までに、少しでも良くなるといいな。