無限の未来 17th season (ページ25)

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825話ページ25

【北斗】

今日は全員、ペアで前に仕事があっての楽屋入り。

最初に仕事が終わったらしい慎太郎とAの末っ子コンビは、すでに楽屋入りをしていたんだけど、なんだか様子が違う。

俺と樹が入ってきたことに気づいて目を覚ましたAは、随分と長い時間寝ていたのか、頭が働いていないみたい。

黒「熱あんの？」

緑「うん。…ありゃ、さっきより結構ぼーっとしてるわ。熱また上がったかも」

青「軽く準備したら変わる」

樹と2人で戻れば、慎太郎の胸に顔を埋めて、グズグズと頭を擦り付けている。

その周りには、年上2人と岩本&深澤コンビ。

あぁ…これは出るなって説得されてるな…。

黒「A。どした、そんなに泣いて」

「…っ、出る」

黄「だから、その熱じゃぁ無理でしょ？しかも熱、上がってきてるんでしょ？」

深澤「俺らも、明日からのことも考えて、やめておいた方がいいと思うよ」

うちの年上組だけだったらまだしも、深澤くんや岩本くんが出てくると…これはちょっと説得するのにも厄介かもしれない。

そう思って隣の樹を見れば、同じように苦笑い。

この様子だと、樹はなるべくAを尊重してあげたい感じかな。

青「慎太郎、サンキューな。とりあえずそこは変わるわ。A、まだ薬飲んでないんだよね？」

緑「うん。本番前だし、副作用怖いからって、樹が来るの待ってた」

青「大丈夫だよ、A。まずは薬飲もう？判断は…それからでも遅くないですよね？」

年上の4人にも有無を言わせない勢いで強い目を向けた樹に、その場にいた全員が頷かざるを得ない感じだった。

岩本くんや高地は、まだ何か言いたげだったから、こっちの説得は…俺の役目かな。

黒「まぁ、まずはAがちょっとでも体休められるようにしてもらえたら…ね？」

岩本「無理して倒れたらどうすんの？でこ触ったけどだいぶ熱高かったし、意識だって朦朧としてた」

黒「最後だから…です。だから、できる限り、無理させてやりたいんです。やり切って、後悔なく、卒業したいから」

まだ公演は残っているけど、今日の公演は、もう二度と来ないから。

気づいたら俺は、深く、深く、4人の前で頭を下げていた。