無限の未来 17th season (ページ23)

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823話ページ23

【大我】

なんとか一般の部が始まるまでには落ち着いて、大きな混乱なく会場を出ることのできた俺たちは、稽古場へ。

Aは結局あの後、開門ギリギリに、滝沢くんと2人でジャニーさんの遺影の前へ行き、ゆっくりとお別れをしたようだった。

桃「A、どうする？稽古やめとく？」

「んーん…も、だいじょぶ…」

桃「そっか。まだボーッとしてるし、しんどくなったら絶対言うことね」

過保護だって言われたって、干渉のしすぎだと言われたって、それだけ、Aのことが心配だから。

特に、デビュー発表をしてからのAは、どう考えても無理な力が入っているようにしか見えなくて、それが怖いから、無理にでも止めたくなってしまう。

もちろん、前を向いている分には、ものすごくいい傾向だと思うし、むしろ、背中を押してあげたい。

でも、どこかにストッパーを作っておきたい自分の気持ちが、そんなAを見るたびに膨らんでしまう。

「大我…？」

桃「ん？」

「なんか、顔怖いよ…？」

桃「…大丈夫。なんでもないよ」

稽古が始まれば、少しいつもより怠そうではあるけれど、決して手は抜かないし、なんなら、普段以上に力が入ってんじゃないかとも思う。

ジャニーさんに、また何か約束でもしてきたんだろうか…。

黄「休憩、しなさい？」

「ﾊｧｯ……ﾊｧｯ……ｯｸ、ﾊｧｯ…」

桃「しんどくなったら言うって、約束したじゃん…」

黄「ほら…いくよ？」

俺や高地の言葉に、バツの悪そうな顔をしつつも、大丈夫だと言い張るAは、確かにさっきみたいに、しんどくてどうしようもない…みたいなことはなさそう。

息が上がってるのは、さっきのパニック発作の影響なのか、それとも元々の呼吸機能の低さからか。

どっちにしても、この様子を見ていた岩本っちゃんからストップをかけられたら、Aも従うしかない。

桃「ごめんね…。縛られてる感じ、するよね」

「…ちょっと、窮屈」

桃「ふふっ。思ったより、ストレートに言ってくれるじゃん」

「あのさ…」

俺のレッスン着の裾をイジりながら、“今まで通りでいてよ”って俺に言うAは、ちょっと寂しそうな目をしていた。