無限の未来 16th season (ページ49)

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799話ページ49

【慎太郎】

「懐かしいよね。慎がアレやってたんやもんなぁ～」

緑「やぁばいよ、今思うとよくやったと思う」

「ねぇ、慎？また…崩れちゃうんかなぁ…」

Aの経験した、10回の自分ではないデビュー。

その後に起こりうることが、どういうことか、十分すぎるほどにわかっているし、10回目は、まだ記憶にも新しい。

自分がそのきっかけになるのは、嫌だとは言えないけど、きっとそれなりに苦しいのは安易に想像がつく。

「みんな…苦しかったんだろうし、怖かったんやね」

緑「じゃない？まぁ、どこまで本気の言葉かは分かんないけど…地獄だったって」

「全員が、全員ハッピーにってわけにいかないのは、理解できる。私だってもう、大人やから」

緑「Aのとこは、誰呼んだの？」

明日のことを思って、少し固い表情になったAを見てるのが苦しくて、無理やり話題を逸らしたのは、まだ俺の弱い部分。

Aもそれをすぐに分かってくれて、ヘラっと笑いながらその質問に答えてくれる。

「さすがに勇人は来られなかったけど、他の2人は呼んでる。あ…甥っ子くるよ」

緑「お！俺ファンの！」

「ほんまに嫌なんやけど」

緑「なんでよ～！」

Aの可愛い甥っ子くんは俺のファンで、よく俺の真似っ子をして撮った動画が、Aのところに送られてきてる。

さすが坂本家って感じの整った顔で、まだ小さいのに本当にかわいくて、将来有望な甥っ子くん。

「“どうして、ねぇねも慎ちゃんと一緒に沢山お歌うたってるのに、CDないの？”って言うからさ…やっと、喜ばせてあげられる」

緑「…あぁ。だから俺のファンなんだ」

「え？」

緑「スノプリ。いつも完璧じゃん、甥っ子くん。きっと、たくさん聴いてるんでしょ？だからだよ」

キョトンとしていたAに、CDが出たら、甥っ子くんはきっとたくさん聞いて、Aの虜になるよって伝えれば、ものすごく嬉しそうに笑うんだ。

そして、優しい声で、自分の周りに集まったメンバーに目を向けて、こう言うんだ。

「明日…ちゃんと、噛み締めよう。どんな結果でも、どんな光景でも…受け入れよう」

それ以上は、言わなくたって分かってた。