無限の未来 16th season (ページ23)

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773話ページ23

【高地】

Jr.単独のコンサート。

それが発表されてから、いろいろな憶測が飛び交っていて、俺たちの元へだってそれは届いていた。

そんな中、藤ヶ谷くんから届いた、Aが体調を崩したからドラマの現場まで迎えにきて欲しいって話。

黄「藤ヶ谷くん！」

藤ヶ谷「おぉ、こっち。多分、ここ数日、撮影中も体調悪そうだったんだよね…珍しくNG連発してて。無理させたかなぁ」

黄「本人も限界はわかってるはずなので…。今日は、連れて帰りますね」

頼むねって言われて、連れて帰る間も起きないAは絶賛発熱中。

ここのところ眠れてなかったみたいだし、ちょうどいいやって思いながら、隣で眠るAをそのままに車を走らせた。

「んっ…こーち…？」

黄「あー、起きた？…ちょっとボーダー越えたんじゃない？」

責めるわけではない。

Aが、無理をせずこの世界で生きていくことが難しいのは俺も理解しているし、ある程度目をつぶっている。

でも、倒れてしまっては意味がないことは、本人も分かっているから。

「こーち…寝たい…」

黄「ん、どうぞ。まだちょっと時間掛かるし、あったかくしてて」

「ん…ありがと…」

昔はよく衝突もしたし、グループになってから、年下であるコイツのことを何度叱ったかなんて、もう覚えてないくらい。

最近では、さすがに喧嘩することも、叱ることさえも減ってきたのは、お互いがどこまで理解して少しの無理を重ねているかが、分かるようになってきたからかもしれない。

黄「着いたよ～…つっても起きねぇよなぁ」

仕方なしに抱き上げたAは、樹に痩せた痩せたって言われてた頃よりは、この1ヶ月くらいで少し戻ってきたように感じる。

夏は現場の季節…なんてよく言うけど、その現場を楽しみにしてるファンのために、誰よりも努力をしているのは、間違いなくA。

今回も、“これが、私がSixTONESにいる理由”って、誇りをもって構成にチャレンジしている。

「んんっ…」

黄「あーっ、お前さては起きてたな？」

「へへっ…」

ソファにおろしたのと同時に目を覚ましたAが、まだ少し潤んだ目を向けながら、ぺろっと舌を出して笑っていた。