無限の未来 15th season (ページ6)

今日:7 hit、昨日:27 hit、合計:74,016 hit

706話ページ6

【樹】

きょもとAがアレンジをしてくれた楽譜と睨めっこする日曜日。

部屋で練習していたら、Aが入ってきて、忙しいのにごめんねって。

青「ううん。Aと出られるの嬉しい。何気初めてだし」

「引き受けてくれて、ありがとう」

青「弟に教えたら、ずりぃ！って叫んでたんだけど」

「ふふっ。Aは、まだみんなに内緒にしてる。来てもらって、みんなの背中押せたらいいな。Aも前に進みたいし」

オモイダマは、Aが高3だった時の、熱闘甲子園テーマソング。

入所当時からかわいがってくれていた、関ジャニ∞さんの歌うこの曲がテーマソングに決まった時、めちゃくちゃ喜んでいたAを思い出す。

最後のミーティングで、このBGMの中、静かに涙を流していたテレビに映るAのことは、今もまだ鮮明に覚えている。

青「同級生、呼んでんだっけ？」

「うん。横アリで8人、大阪に4人来てくれる予定。地方の子とかは来れなかったり、どうしても都合つかない子もいたけど、学生最後やからって都合つけてくれた」

青「嬉しいな、そういうの。っしゃ、俺も頑張んなきゃなぁー！」

「末っ子、来るの？」

青「一応、大阪は呼んだけど…どうかな？お前が呼んだ方が来るんじゃね？」

ご冗談を…なんでふざけているAだけど、Aには従順なうちの弟なら、あり得ない話ではない。

そんなゆるい空気から一転、ふと軽く歌うAの歌声が、本当に熱のこもった声で、俺も気合が入る。

ある程度は形になってきていて、気づけば2人で一通り作ったアレンジで歌っていた。

青「結構、いい感じだったりする？」

「うん、いい感じだったりした！私のピアノが入ったらどんな感じになるか見たいし、どこかでピアノも合わせたいなぁ」

青「んーじゃ、次のリハの時だな。どうする？もうちょっとやる？」

「今日は、いいかな。満足したから…また、リハの時にお願いします」

“限界超え見えた扉破れ、今”

“頑張ってきたこと知ってるから”

“泣いた日も無駄じゃない”

彼女が届けるこのメッセージが、どうか、彼女自身にも届きますように。

そんなことを思い、俺は最後の歌詞を呟いた。