無限の未来 15th season (ページ36)

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736話ページ36

【樹】

「まだ、震えてるよ…。ビックリしたぁ。でも、嬉しかったなぁ…」

青「んーね。嬉しいね」

家に帰ってからも、今日のMCのことを思って、ぽやーっとしていたA。

突然のことすぎて、会場では焦ってしまったけど、俺たちの今回のステージが、一つの形として認められたことを、今ようやく、ゆっくりと噛み締めている。

心の底から嬉しくて仕方なかった。

「なんか…慌てちゃった時さ。ほら、茶封筒思い出した。雰囲気が、そっくりだったんだよね」

青「A、あの日ってバックいたんだっけ？」

「うん、出てた。謙ちゃんに封筒が渡されて、届けろって言われてて…兄さんたちが、え？なに？ってなって…段々意味がわかってきて、言っていいよって」

「なんか覚えてるなぁって思ったら、それだった」

懐かしそうに、嬉しそうにそれを話すAを見て、ステージ上で、“幸せ”と言った彼女を思い出す。

今握っている、ちょっと温かいこの手を、離さなくてよかったって、そう思った。

青「もうちょっと。もうちょっと…頑張ろうな」

「うん。昨日ステージでも言ったけどさ。あの時…樹くんが、6人が引き止めてくれて、よかった」

Aを必死に探して、消えてしまうかもしれないと思いながら、それでも探し回って迎えに行った、あの日。

ボーッとする俺の服を引っ張って、どうしたの？って首を傾げるその姿さえも、愛おしい。

「あのね、嬉しかったことが…3つあります」

青「んー？3つ？」

「そう。ひとつは…まぁ全くではないけど…大きく体調崩さずに、横アリの5公演、全てやり切れたこと」

「もうひとつは、ほっくんが、SixTONESといるの…楽しいって言ってくれたこと」

青「最後は？」

聞かなくたって、何を言うか分かっているのに、急かしてしまう俺は、意地悪なのかな。

分かってるくせに、って、ニコニコしながら俺にふざけてデコピンしてくるお前だっで、その答えをちょっと焦らしてるくせに。

「ジャニーさんに、コンサートを認めてもらえた。それに、滝沢くんにも」

「少しは…2人に恩返し、できたかな？」

十分だよ、って言う代わりに、彼女の細い体を、そっと抱きしめた。