無限の未来 15th season (ページ26)

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726話ページ26

【高地】

次の本番まで1時間半。

そろそろ、シャワーの時に落としたメイクを、もう一度始めようかという時間。

昼公演を終えて、一旦眠りについたAは、結局起きることなく、服薬の時間まで眠っていた。

黄「A。そろそろメイクしな？時間あったらもう一回寝てもいいし」

「ありがとぉ…」

ふにゃっふにゃだけど、まずまず体力は回復してきたのかな。

1公演目は、十分すぎるほど十分に納得のいくステージになって、Aも、特に大きな問題なく終えることができた。

黒「あれ…ちょーっと酸素、低いかも。苦しい？」

黄「え、マジ？」

「くるしくなぁい…」

黒「数字だけか？もっかい大きく吸って？…吐いて。ん、もう一回…んー。ダメだ。上がんないね。一応酸素つけとこ」

本人の言うとおり、そんなに体調悪そうな感じはないけど、メイクを終えたAのや酸素はやっぱり上がってこなくて、渋々。

コロンと転がって、ちょっとだけ不満そうにしているけど、自らマスクを手に取ったあたり、きっと不安はあるんだろう。

黄「もし、修正とかするなら聞くよ？」

「ん…？」

黄「寝る前に、ザーッと見ておきたかったんじゃないの？」

「ん、まぁ…うん」

黄「どこから？」

ボロボロになった資料。

何度も何度も見返して、破れてるところがマスキングテープで改修されてたりもしてる。

「ここのさ…んー。ちょっと…なんか、エッちぃの、続きすぎてるんよね」

黄「じゃぁ、もうちょっと力抜いてていいのか。衣装の魅せ方変えようか」

「あとぉ…ここの…」

黒「あー、それは俺も思った。ちょっと移動間に合ってないよね」

青「あ、分かるかも。どうしてもね、外周でファンサしてるとなぁ～」

いつの間にか、寝転ぶAの周りにメンバーが次々と集まっていて、ああでもない、こうでもないって。

本番と本番の間、たかが数時間で、リハもできない一発本番の修正。

それでもできるって、自信を持って俺たちが言えるのは、基礎の基礎を作り込んでくれたAの姿を見てきているから。

そのAが、“できる”って信じてるんだから、俺たちだって、信じるに決まってるんだ。