無限の未来 15th season (ページ32)

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自分のことを話すのは、あまり得意ではなかった。

でも、メンバーが、今日はちゃんと話した方がいいって言ってくれたから…。

「高校野球を引退して、Jr.に復帰して…もう、4年ですか？…あっという間でした。でも、色んなことがありました。お別れも、たくさんしたし…ね」

「苦しかった。本当に…でも、嬉しいこともたくさんあって…ようやくっ…ここ…で、っ…」

絶対に泣くもんかって、そう思ってた。

なのに…なんでそこに居るの。

なんで…そんなに綺麗に泣くのよ、謙ちゃん。

「…んー。あー…あかんっ…。すいません、へへっ。ようやくね、私はここで生きていく覚悟が、できたから。ちゃんと、今日は話をさせてください」

隣で準備をしてる樹くんが、そっと私の頭を撫でてくれる。

きっと彼も、謙ちゃんがそこで泣いていることに気づいてるはず。

グッと上を向いて、涙を堪えるしかなくて、少しだけ時間をもらった。

「実は…今年の9月まで、再発した脳腫瘍の治療を続けていました。えっとね…一昨年の、少年たちの舞台期間に、再々発が分かって…」

「それから、メンバーがずっと、サポートしてくれたり…事務所の方や、マネージャーさんが頑張ってくれて、なんとか…私も頑張れました」

きっと怖かったはずなのに、大丈夫、できるよって笑ってくれた慎。

私の幸せを思って、私以上に泣いてくれたジェス。

頭を切ると決めた時、誰よりも真っ先に、私の背中を押す、強い言葉をくれた大我くん。

「今も、補聴器がないと右耳が聞こえなかったり…全てが元に戻ったわけではないんやけど、それでも、ここで生きていく、その覚悟ができたのは…こんな私でも待っていてくれた、ファンの皆さんのおかげです」

私は、私のままで…そして7人で、世界を目指そうと言ってくれた高地。

聞こえない私のために、こっそり手話を覚えてくれたほっくんのおかげで、今は聞こえない日も、前みたいに怖くはない。

そして、一番しんどかったとき、私を迎えにきてくれて、ずっとそばにいてくれる樹くん。

「たくさん、背中を押してもらいました。だから、今度は、私の番です。聴いてください…」

“オモイダマ”