無限の未来 15th season (ページ2)

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702話ページ2

【北斗】

黒「ほいっ。起きろ」

「んっ…あーい」

全国ツアーまであと少し。

大方中身も固まってきて、Aが関わったステージ構成なんかも、かなりいいものになってきた。

グッズも、相当納得のいくものになっているし、あとは本番まで内容を詰めていくだけ。

「ほっくーん、卵足りひん～」

黒「あれ？ホント？じゃぁ今日は卵なし…あ、あるだけ使ってだし巻きにしよっか」

Aの治療が終わってもうすぐ半年。

継続的に飲んでいる薬とも、徐々にうまく付き合えるようになってきたことで、少しずつ体調が整ってきたA。

無理なく色んなことができるようになってきたこともあって、最近では家事も分担でできるようになってきた。

元々、寮生活をしていたAからすれば、別に家事は嫌なことではないみたいだし、こっちの方が、精神的なリズムも整っている気がするのも、気のせいではないかもしれない。

黄「おっ、美味そうな匂い～」

「あ、こーち。おはよぉ～」

黄「おはよ。今日俺、スクール革命の収録終わったらリハは直で行くから」

黒「ん。分かった。電車？」

黄「の、つもり」

はいはーい、なんて適当に返事を返せば、こちらも適当に繰り広げられていた、Aと高地の会話。

樹はまだしばらく起きてこないだろうから、彼の分の朝食には、ラップをかけておく。

思ったよりも時間がギリギリだったのか、慌てておにぎりを口に詰め込んで、ガタガタと準備をする高地を横目にふわっと笑うA。

俺だけ知らなかったドッキリのことを知った時は、しばらく不安定になったAの体調と結びついて、さすがに一度メンバーに雷を落とした俺。

メンバーもかなり反省してたし、Aのこの笑顔が見れるなら、だいぶ落ち着いてはきているんだろう。

青「北斗、そろそろ出るぞー。A、昨日作ってた資料って入れてある？」

「うん、持った～」

いつの間にか起きてきたらしい樹も、温め直した朝食をしっかりお腹に入れて、いざリハーサルへ向かう。

事務所のレッスン室では、先に着いたジェシーや慎太郎がストレッチを始めていて、自然にスイッチが切り替わる。

この瞬間が、俺は好き。