無限の未来 14th season (ページ6)

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656話ページ6

【ジェシー】

赤「珍しいじゃん」

「伝言。萩に電話してきた。がんばれ、96年組。だって。よく言うよ…」

赤「ヘヘッ、あいつらしい」

大丈夫、そう思えたのは、辞めていった仲間の名前を出しても、不安そうな顔をしていなかったから。

このあと、まずは自分たちのステージに、しっかり全力を尽くすだけ。

ここ最近は、MVの衣装で踊ることが多かったから、久しぶりに見るAの服装。

赤「ちょっぴり、ヤンチャに見えるけど…こっちの衣装もAらしくて好き」

「ヤンチャっぽいってなんやねん」

赤「へ？…ほら、このギラギラとか。全体的に、強そう」

意味わかんないってお前は笑うけど、この衣装へのAの強いこだわりは、メンバーみんな知ってる。

ハードな公演、キツすぎる期間になることが分かっていて、そんな中でもらった楽曲。

でもきっと、もうあの頃から…Aは自分の体の不調に気づいてて、だから、それを誤魔化すために…いや、力をもらうために、こだわった衣装。

「これがなくても、強い私に…なりたい」

赤「…なれるよ。なれる。…A？こっち向いて」

「…」

赤「泣いてていいから。こっち向いて？」

「…」

ゆっくりこっちを向いたAは、俯いて、小さな肩を震わせていた。

今日も、泣き虫Aちゃん。

ちっちゃい頃から、泣き虫なAはよく見てきた。

Aは悔しいと、泣く。寂しくても、嬉しくても、悲しくても、泣く。

感動した時も、やり切った時も、誰よりも泣く。

自分がそうじゃなくても、誰かが悲しんでいれば、一緒に悲しんで、喜んでいれば、一緒に喜ぶ。

今日は、どの涙？

赤「A…？」

「Aね…やっと、やっと……分かった。みんなの分まで、私は…夢を見る」

赤「A、顔上げて？…ん。いい顔」

「ずっとね…夢見るの、怖かった。何回も期待して、裏切られて、また信じて、ダメで」

赤「病気のこと？」

「うん。病気も…デビューもやな。でも…私には、夢を見させてくれる、強い味方が、たくさんおるって、そう思えたから…」

今日また一歩、俺たちは…道を踏みしめる。

誰も選んだことない、新しい道でも。

怖くない。