無限の未来 14th season (ページ50)

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700話ページ50

【慎太郎】

今朝のことを思って、大きな罪悪感があるのは俺だけじゃないと思う。

せめて、顔色を見ておきたくてAの部屋へ向かえば、先客あり。

緑「今日は樹がこっちで寝るの？」

青「うん、そーする。これで明日の寝坊はねぇわ」

緑「お嬢は？風呂？」

青「うん。もう出るかな？だいぶ経ったし」

しばらくすれば、Aが風呂から出てきて、俺がいることに驚きながらも、俺がここにいる理由は、なんとなく察してるみたい。

緑「ごめんね、昨日の朝。ビックリしたよね…」

「へへっ。大丈夫…。ちょっと怖かったけど…ずっと隣いてくれたの、慎でしょ？」

緑「そうだけど…」

「だから、いいの。そりゃ…まだ、どこかで…怖いって思ってるから、知らないうちに…こんなことに、なっちゃうけど…」

「それなりに…わたしも、進んでるから。ね？」

ゆっくりなペースでごめんね、って謝るAは、ほんの少しだけ震えていた。

Aは、何も悪くない。

もう、2年も経った…無意識にそう思ってしまうことがあるけど、きっとAの中では、まだ、たったの2年しか経っていなくて。

Aを苦しめているその傷は、悔しいけど、俺たちの目に見える傷ではなくて。

だからこそ、どのぐらい深く、大きく傷ついているのかも、逆に、どれだけ回復しているのかも、なかなか解ってあげることができない。

でも、だからって…俺たちは逃げたらダメなこと。

緑「よーし。俺も今日は、こっちで寝よっかな～」

「えー、樹くんいるからいいって」

青「2人の時間、邪魔すんじゃねぇよ～」

緑「えぇー、いいじゃん～。樹おねがーい。俺たち、昔はよく一緒にツアー回ったじゃない。ジェシーも呼んで～」

「却下でーす」

緑「ふふっ、ようやく笑った」

Aのおでこをコツンとしながらそう言えば、恥ずかしそうに目を逸らす。

樹に、“”さそろそろ明日のために、本当に無理させたくないから早く帰って？”と言われた俺は、ようやく自然に笑ったAを見れたことに安心して、自室へ戻った。

翌朝、今度こそ寝坊せずに起きてきた樹と、元気そうにロケに参加するAを見て、少し気持ちが晴れた気がした。