無限の未来 14th season (ページ49)

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699話ページ49

【樹】

「樹くん」

青「ん？おぉ。お嬢様、気分はいかがですか？…熱下がったね、よかった」

北斗はドッキリかかってないから、北斗の前ではなかなか言い難いけど、実際今回のAの体調不良は、ストレスのせいなところがあると思ってる。

あの寝起きドッキリで、以前と比べたらかなり堪えていた方だと思うけど、やっぱり蘇ったトラウマは、Aのことを苦しめてしまったみたい。

青「ごめんな、怖かったよな…その…」

「ドッキリ？」

青「うん。ちょっと考えたら、分かったことなのに」

「ふふっ、えーよ。だって、何があっても、樹くんが守ってくれるんやろ？…よかった。もし、あの時1人やったら、こんなんじゃ済まんかったと思う…」

「だから…ありがとう、樹くん」

青「感謝されるようなことしてない」

ふふふって柔らかく笑い続けるAは、まだ本調子ではないけど、それでも、笑ってくれていることが嬉しい。

ほんの小さなイタズラ心のせいで、Aに辛い思いも、悔しい思いをさせてしまったことも、俺たちは静かに反省している。

青「…手、震えてるよ？」

「へへっ…おかしいな、樹くんやって、分かってんのんな」

青「そんな下手くそな笑い方、しなくていいから」

頭では、怖いって思ってないよって、震える声で俺に伝えてくるA。

大丈夫、分かってる。

A自身もわからない、心の奥の奥で、勝手にSOSが出されてるっていう証拠だった。

青「今日さ、Aの部屋で寝てもいい？」

「…うん、一緒に、おって欲しい」

青「よっしゃ、これで明日は寝坊しなくて済む～」

「ははっ！なんなん、それ」

青「その笑い方が好き。そっちの方が、いい」

なにが違うか、わかんないよってAはまた笑うけど、明らかに違うんだよ。

Aのことが、心の底から愛おしくてたまらない。

「新しく変わった薬、なんか副作用嫌な感じ。強い薬は、これがあるから嫌い～」

青「だからって薬飲むのはサボるなよ？」

「ん、わかってる」

青「何かあっても、俺が守ってやるから」

樹くんは頼もしいねって笑うAの目は、病院で拳を突き合わせた時の、兄やんと、そっくりだった。