693話 ページ43
【ジェシー】
「ねぇー、早く行こう〜」
赤「だぁって、繋がれてんだもん。高地が引っ張ってくるしぃ」
1人自由の身であるAは、動きが制限された俺たちをケラケラ笑いながら、写真に収めてくれる。
地面に座って、鹿の写真を撮ったり、プライベートと変わらないくらいの楽しみ方。
緑「Aってさぁ、カメラとか、さっきも朝に絵描いてるって言ってたけど、結構芸術肌?だよね」
赤「写真は本当に好きだよね、ずーっとカメラ持ってるもんね〜」
「カメラは、裕翔くんの影響だよ」
赤「あぁ、関東の同期なんだもんね?」
そうそう〜って言いながら、ファインダーを覗くAは、すごく絵になる。
時々後ろ向いて歩いたりするから、ちょっとヒヤヒヤして、その度に慎太郎から注意されてる。
まったく、どっちが年上なんだかって、見てる人は思うだろうね。
青「しんたろ!ねぇ!A!無理、無理っ!」
「ねぇ、ジェス、あの人ずっと叫んでるよ」
赤「ヘヘッ!ビビリだねぇ〜。でも、Aは慣れすぎじゃない?」
「ひひっ。A、動物とか子どもとか、好きなんだよねぇ」
せんべいは持たないけど、それでも寄ってくる鹿と戯れて、ヨシヨシしたりしてるA。
鹿にビビったり、大声出して囲まれてる俺たちのことを見て、ケラケラと笑うAを見ていると、それだけで俺も楽しくなる。
桃「よかった、笑ってて。朝、怖がらせちゃったからさ…」
赤「あー。あのあと、どうだった?」
桃「…Aも、強くなったなぁって思った。あれ…怯えてたじゃん。多分、死ぬほど怖かったと思う。でも、笑ってた」
桃「あの時のA…現実と、フラッシュバックの間にいたんだって。どこかで、メンバーだって分かってて。だからきっと、カメラ回ってる間は、必死に耐えてたの」
随分前に、大我が泣きながら言っていた。
“Aのトラウマは、一生消えない傷なんだ”っていうその言葉が、頭に浮かんだ。
今もまだ、あの事件のせいでAが苦しむことが、ないとは言えない。
でも俺たちが、何回も何回も、カサブタの役割をしたらいいかなって、Aの笑った顔を見ながら、今はそう思ってる。
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美紀(プロフ) - 移行おめでとです最高ですコロナウイルスに気をつけてくださいね (2021年2月14日 16時) (レス) id: e19dcb272d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かん。 | 作成日時:2021年2月10日 8時