無限の未来 14th season (ページ40)

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690話ページ40

【樹】

アイツらは、絶対に来る。

そう思って、今日は寝ないと決め込んだ俺。

と、予想外に鳴るチャイム。

さすがに早すぎねぇ？てか、チャイム鳴らす？って不思議に思ってドアを開ければ、納得。

「ごめん…やっぱちょっと…」

青「ふふっ。大丈夫、起きてたから。おいで？」

申し訳なさそうに俯くAの手を引けば、その手は少し冷たく震えていて、また喘息が出ていたことを悟る。

この手の震えは副作用で、何回か嫌がるのを見てきたから、効果があるかはわからないけど、両手で包んでゆっくり撫でる。

青「苦しかった？」

「ん…ちょっと…ｯｺﾝｺﾝ…ｹﾎｹﾎｹﾎｯ…」

青「っととと。寝れそうなら、寝ちゃいな。俺、まだ起きてるし」

「樹くん、寝ないの？」

ポヤっとしたAにそう聞かれると、一緒に寝てあげたくなっちゃうけど、奴らに仕返しがしたい俺は、仕込んでるからね。

寝れるまで、そばにいるから大丈夫だよって、手を握っててやれば、スースーと聞こえてきた、きれいな呼吸音。

それから数時間、Aの寝てない方のベッドに細工をして…俺はその時を待つ。

時々Aの様子をチラ見しては、ぐっすり眠れている様子に、安心している。

“カチャンッ”と聞こえたかと思えば、そろそろと入ってくるアイツら。

緑「あ…やっぱりA、ここにいたぁ～。お、寝れてる、寝れてる」

黄「あ、ほんと？よかったわぁ…」

赤「とりあえず、Aはこのまま寝かせておいてあげよう。樹ドッキリしたら起きるっしょ。あ、寝顔だけ撮っておこう」

小声でやりとりしてるけど、全部聞こえてっからな？って言ってやりたい気持ちを抑えて、様子見。

きょもが、俺の細工したベッドを捲ると…4人は大慌てで、思った通りの戸惑いが返ってきて、ちょっと嬉しくなる。

でも、俺が心底冷静に楽しめていたのは、ここまで。

「んっ…んぅ……っ！」

緑「あ、A起きちゃった」

カーテンの隙間から、少しだけ見えた、寝起きのAが怯えている顔。

逆ドッキリをバラしてから、Aの状況整理のために、少し時間もらって…あぁ、二度とこの時期に寝起きドッキリなんてやらねぇって誓った。