無限の未来 14th season (ページ37)

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687話ページ37

【北斗】

車に揺られて6時間の旅。

結局あの後、集合時間ギリギリまで寝かせるものの、まだ苦しさは残っているのか、しっかりとは眠れなかったA。

緑「おはよぉ…っと、寝てる？」

黒「うん。ちょっと今日は、落ち着くまで静かにしてやって」

赤「この様子だと、Aは起きたら奈良だね～」

末っ子男子2人も、今日は比較的静かに過ごしてくれて、Aも起きる気配はなさそう。

慣れた樹が隣をキープしるから、あんまり心配はしてないけど、時々咳き込んでは体勢を変えて、クルクルと動くA。

思うように今も休息は取れてなさそうで、俺も少し気になる。

「けほっ…こほっ……ｾﾞｪｰｯ」

青「っと…(ﾄﾝﾄﾝ)」

黒「またちょっと酷くなってきた？」

青「かなぁ。酸素は…とりあえず大丈夫そう」

一瞬、咳き込む間に変な音が混ざったような気がしたけど、その一回だけだったことに、酷く安心する。

せっかくの関西での仕事だ。

体調悪くてできませんでした、なんてことになれば、Aが大きく落ち込むのは目に見える。

なんとかこのまま落ち着いてくれたらと思いながら、樹の膝に体を預けるお嬢の背中をさする。

黄「そろそろホテル着くみたいだけど？」

黒「A、長旅おつかれ。(ﾕｻﾕｻ)」

「ん…」

黒［ホテル、着いたよ。体調は？］

［…大丈夫。ありがとう］

黒「大丈夫だって。降りよっか」

と、ここへきて勃発するのが、Aの部屋割り問題だ。

元々今回は、ありがたいことに1人一部屋を用意してもらうことができた。

本来ならAにとっても幸せなことなんだけど、今日のAの体調と、明け方の様子を考えれば、一人にしておくのはちょっと怖い気もする。

青「とりあえず部屋このままで、ヤバそうだったら俺のところ来させるよ。一応どの部屋も、ベッドは2つあるんでしょ？」

黒「確かに、それが得策か。Aも久々に1人部屋で羽伸ばせて嬉しいもんな」

「ん？」

こっちの話って手話で伝えれば、“男の子の話？”なんて返ってくるから、そういうことにしておく。

何事もなく、Aの大好きな関西でのお仕事が、ただ楽しく終えられますように。