無限の未来 14th season (ページ36)

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686話ページ36

【高地】

明日からしばらく、少年たちのプロモーションやら、ワイドショーのロケで奈良県入りをする。

そのために、明日の朝は集合も早めの設定だから、昨日は早めに寝たんだけど。

さすがに早めに寝ると、途中で目が覚めてしまうのが俺。

寝ぼけ眼でトイレに行って、用を足せば、思ったよりも冴えてしまった頭。

まだ二度寝できるかなぁ、なんて思う午前4時過ぎ。

と、Aの部屋から聞こえる物音に、ちょっと嫌な予感。

黄「(ｺﾝｺﾝ)…A？…入るよ～(小声)」

「コンッ……コホッ、…ｹﾎｯ､ｹﾞﾎｯ…ｾﾞｪｯ」

黄「ありゃ…眠れてないね…。A、A。しんどいね。起こしてくれてよかったのに…」

横になっているのもしんどいのか、体育座りでクッションに顔を埋めているA。

体を支えていることもままならなくて、ぐったりとベッドボートにもたれかかっている姿が痛々しい。

俺たちの部屋に音が響かないように、なんとかクッションで咳を抑えようとしたんだろう。

寝る時、Aが手元にいつもつけている酸素計は外れていた。

黄「もう俺来たからね。大丈夫だから、クッション外そう…顔埋めたら、余計苦しいでしょ。あと、パックンチョさせて？」

「…こ、…ケホっ、ケホっ」

黄「喋んなくていいよ。いなくならないからね」

ギュッと俺の服を握る手に、もう一度酸素計を付け直せば、すぐにやかましく音を立てるアラーム。

さする背中からは、ゼェゼェと伝わってくる喘鳴。

黒「…ほっさ？」

黄「悪い、北斗…起こしちゃった？」

黒「いや、別に…。俺、吸入準備するし、そのままついててあげて…」

騒ぎに気づいた北斗が、ぽやぽやしながらも慣れた手つきで吸入薬を準備してくれて、なんとかお嬢に吸わせる。

さすがに寝起きの悪い樹も、よっぽど騒がしかったのか、それとも男の勘か。

何かあった？って入ってきたときには、さすがに俺たちも驚いた。

黄「中…発作かなぁ。ギリ大発作までは移行してなかったけど」

吸入薬の噴霧が終わる頃、背中から伝わる音も小さくなって、コクコクと頭が揺れ始めたAを見て、俺たちもようやく安堵の息をつく方ができた。