無限の未来 14th season (ページ29)

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679話ページ29

【慎太郎】

後輩たちのステージを見守りながら、ソワソワと落ち着きのないA。

それは、Aが愛してやまない後輩の2人が、“あなたにお手紙書きましょう”に登場するからだ。

オープニングで、2人の高校卒業の話が出た時から、ずっと、“エモいね…”って、どこか寂しそうな、でも嬉しそうな目をしていた。

「涼と瑞稀が、高校卒業か…」

緑「2人と会った頃のこと、覚えてる？」

「覚えてるよ！かわいかったぁ。でも、今こんなに可愛がってるとは思わなかったし…こんなに、守られてるとも思わなかった」

緑「あの頃はずっと、Aが俺たちのこと守ってくれてたもんね」

幼くして、グループに抜擢された俺たち。

どのメンバーも経験が浅く、あまりに子ども過ぎて、右も左も、上も下も分からなくて、今思えば、考えられないような無礼だって重ねていた。

でも、それがいいことか悪いことかさえまだ解らなかった、そんな頃。

“幼い”は、言い訳になんてならなくて、ただただ責められ、批判されることだって少なくなかった。

「同じ経験してる人って、少なかったから。初めて、自分の背負ってきたものが…役に立つ時が来たって思った」

緑「俺たちを守ることで？」

「そう。あとは、ジャニーさんとの約束やった。だからね、今も無意識に…チビたち見ると、守らなきゃっていう意識が芽生えるんよ」

俺も、その気持ちは分からなくもなかった。

かわいい後輩を、傷つけたくない。

あんな思いをするのは、俺たちの世代までで十分。

「無知がどれだけ怖いのか、私たちが一番よく分かってるやん。だからさ、慎。これからも…嫌われてもいいから、みんなを、厳しく守ろうね…」

“そしたら、涼や瑞稀みたいに、笑っててくれる子が増えるはずだから”

Aは、ほんの少しだけ目を潤ませていた。

あの頃、年齢が近くて、すでに経験の豊富だったAは、チビたちの教育係だった。

ずっとずっと、彼らの前では“お姉さん”だったAを、最近では、いつの間にか彼らがさりげなく支えるようになってきた。

きっとそれは、Aのこれだけ真っ直ぐな思いが、ちゃんと彼らに届いてるからなんだろう。