無限の未来 14th season (ページ26)

今日:39 hit、昨日:21 hit、合計:79,324 hit

676話ページ26

【慎太郎】

緑「A、こっち来る？」

「んー…樹くんとこかな…？」

緑「今日は、右だけでも補聴器つけたほうがいいんじゃない？途中で筆談するの難しそう」

俺の言葉に、右耳だけ補聴器をつけたAは、結局ど真ん中の、俺と高地の間に席を決めた。

しばらくして、スタッフさんたちが食事の準備を始めると、Aが少し顔を歪めたのが見えた。

ついには、せっかく付けた補聴器を外してしまって、部屋の隅っこで耳を押さえている。

幸い、それに気づいているのは、まだ俺だけ。

緑「どうした？頭痛い？耳痛い？」

「や…その…食器の、ガチャガチャが…」

緑「あぁ、補聴器だと拾いすぎちゃうか…。紙のお皿にできないか聞いてみよっか。いけそう？」

「ん、行く…」

スタッフさんに相談してみたものの、すぐに用意ができないみたいで、残念ながら、食器はこのまま。

でも、それを聞いていた樹が、メンバーに声をかけてくれて、食器は丁寧に扱うこと！なんて、小学生みたいなお約束。

食事会は、色んな動画を振り返って、盛り上がった。

「ねぇ、沖縄のさ…ドッキリ！あれ、なんで海のやつ使われへんかったん？」

桃「あー、寝起きドッキリの、前日ね？」

黄「俺、あれマジでAがケガしたんだと思って。超焦ったわ」

緑「なんならA、本当に血だと思って、ちょっと気持ち悪くなってたもんね」

「もう、ホントにYouTubeのせいで血ダメになったから、一生やらんでほしい」

撮影中も、スムーズにメンバーとの会話に入れているAを見て、ちょっと安心。

Aは普段からそんなに沢山話す方ではないけど、やっぱり表情で、聴き取れてないから話してないんだろうってのは、すぐ分かる。

でもね、俺だってカバーできるよ、そのくらい。

緑「ほら、ドッキリの時、俺たち楽屋帰ったあと、ボーッとしてたねって」

「あぁ！A、あの日超疲れた～」

コソッと、ありがとうって言ってくるAの頭を撫でると、嬉しそうな顔でご飯を頬張っていた。

大丈夫、俺たちなら。

今日話した夢…再生回数の記録だって、デビューだって…世界進出だって、全部叶えられる。

そんな風に思った。