無限の未来 14th season (ページ24)

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674話ページ24

【高地】

黄「Aが補聴器つけたくない理由は、よく分かった…。樹も北斗も納得でしょ？」

補聴器をつけても、簡単に音が聞こえるようになるわけではな、うまく聞こえるようになるために、ずっと訓練を繰り返していたこと。

Aは、俺たちの知らないところでも必死に努力をしていた。

それに、俺たちに響いてしまった、“まだ、左、聞こえてるもん…障害じゃないもん…”という、悔しそうなAの心の叫び。

脳に転移した腫瘍が脅かしたAの耳。

ほとんど聴力を失った右耳への補聴器に、ようやく慣れてきたところだ。

だから、まだ聞こえる左耳に補聴器をつけるのは、やっぱり辞めようという話で決着がついた。

黄「…約束して？今まで通りの約束だけど、一人で出かける時とか…俺たちがいない、一人の仕事の時は、必ず補聴器つけて。右だけでもいいから」

「っ…」

青「A…。Aを、守るためなの。んー、ちょっと違うか。んっとね…」

あったかい、樹の声。

Aにしか向けることのない、樹の優しい声。

そんな声で紡ぎ出される、飾らない、まっすぐな言葉たち。

それが、少しずつAを包んで、彼女の気持ちを溶かしていく。

黄「どうしてもさ、一人で頑張らなくちゃいけない場面が増えてきたじゃない。ドラマもそうだし…」

黄「それをね、心のわだかまりっていうの？そういうのなしに、Aには楽しんでほしい」

黄「でもその時に、俺たちは手伝ってあげられないから、補聴器を…俺らの代わりにしてほしいんだ。それは、SixTONESの最年長、高地優吾としてのお願い」

ビックリしたような顔で、俺のことを見つめ、恥ずかしそうに目を逸らした先には、樹。

覚えたての手話で、ぎこちなく［大丈夫］と手を動かす彼を見て、Aは、また大きく目を見開いた。

青「本当はさ、“俺がお前の耳になってやる”とか、カッコいいこと言いたいけど…俺ら、そんなことはできないからさ」

青「でも、俺ら、お前とスピード合わせることはできるよ。だから、俺らといる時は…安心して外したらいい」

おいしいところは、樹に持ってかれだけど、Aが笑ってくれたから、それでいい。