無限の未来 14th season (ページ21)

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671話ページ21

【慎太郎】

今日は朝からYouTube。

最初は事務所で撮るから、電車で事務所のいつもの場所へ行けば、珍しく一番乗りのシェアハウスメンバー4人。

昨日、あんなに辛そうだったAは、今日は熱がひいてたみたいで、薬も飲めたからって、多少いつもよりポヤっとしてるけど、体調は良さそうだった。

青「慎太郎、今日、俺たちご指名」

緑「ん？あぁ！Aの隣いいの？なんだA～、俺が恋しくなったかー？」

「んっ！」

緑「ありゃ、つけてないの？」

そう言って左側へ回れば、ニコニコしているA。

でも、そのAから聞かされた話は、ちょっとだけ悲しいお話だった。

「左もも、時々聞こえにくくなってきた。補聴器、こっちも入れようか迷ってる」

緑「ふーん。でも、俺に言うってことは…つけるの嫌なんでしょ？」

「うん…あんまり、つけたくない。頭痛くなるのも、しんどくて、補聴器、積極的になれない」

緑「先生はなんて？」

「基準はないから、自分が、困ったって思えば、つけたらいいし、頑張れるなら、付けなくてもいいって」

Aの主治医の福澤先生は、いつも基本、Aの意思を尊重してくれる。

骨肉腫から派生した色んな病気に対しても、本来ならそれぞれで担当があるんだろうけど、人見知りなAのために、たくさん連携をとって、基本はなんでも相談に乗ってくれる。

それでいて、Aの気持ちもよく分かってくれているし、これまでの負担も、もちろん。

だから、こうして、体の負担を減らすことが、心の負担になってしまわないようにもしてくれているんだと思う。

緑「俺たちと話してる時は、ちょっと聞こえにくいのかな？とか、仕事中も、聞こえなくて、困ってるんじゃないかな、って思ってるのね？それはどう？」

「んー…時々、聞き返しちゃったりは…ある」

緑「そっかそっか。普段はどう？ほら、普通に、聞こえなくて怖い思いしたこととか、危ない目に遭ったことは？」

少しずつ聞いていけば、そこそこ影響はあるみたいだと、自分の中でも分かり始める、A。

“いつ必要か…考えてみる”って、ちょっと悔しそうだったけど、Aは確かに、そう言った。