無限の未来 14th season (ページ18)

今日:35 hit、昨日:21 hit、合計:79,320 hit

668話ページ18

【樹】

涼「樹くん、ちょっとヤバそうです」

青「うぉ、マジか。すぐ行くわ」

生理の時は俺らがついてるよりも、ちょっと距離のある先輩や後輩にいてもらった方が落ち着くA。

今日はありがたいことに、Aが一番可愛がっている、橋本っちゃんが居てくれるから、少しの間お願いして、ケータリングにいれば掛かってくる電話。

青「ごめん、ありがとな」

涼「Aねぇ、樹くんに代わるよ」

青「ごめんごめん、A。どした？」

「んっ…ｯﾊ…ﾝﾝｯ、ﾊｯ、ﾝｸｯ」

青「吐きそ？」

真っ青な顔で、痛みに耐えながら、小さく頷くAを支えて起こせば、すぐに俯く。

用意してあった袋に戻そうにも、水さえ飲めていない今のAに、せり上がってくるものはない。

「ﾝﾊｯ､ｯｴ…ﾝｯﾀ…ｯｸ、ﾊｧｯﾊｯﾊｧｯ、、ﾝｯ!」

青「あ、ヤベェかも。ごめん、涼。一旦出て」

涼「ですね…なんかあったら、呼んでください」

さすが、伊達にチビの頃からAにくっついてるだけのことはある。

すぐに、過呼吸が起きそうなことを察して席を外してくれる。

久しぶりに、だいぶパニクってるな…痛みで息が詰まって、完全に呼吸の仕方が分からなくなってる。

「ｯｸ、ｯﾊｧ…ﾊｯﾊｧｯ…ﾋｯ、ﾌｯ、ﾊｧｯ……、じゅ…ぃ、ｯﾊｧﾊｧｯ､ﾊｯﾊｧｯ､いっ……い、…ｯﾊｧﾊｧｯ…」

青「A、A。ちょっと、体、触るよ」

補聴器はギリギリまで外してあるし、このパニックじゃぁ何も聞こえてないだろうけど…。

さすってる背中が、少しだけ汗ばんでいて、時々苦しそうな呼吸に混じって波打つ。

青「A、俺の声、聞いて…。ん、お話一回ストップな…。苦しいね。はぁーって吐くよ…はぁー…早い早い。吐けるとこまで吐きな？はー…」

ぶんぶん首横に振って、できないって訴えてくるAだけど、ゆっくり声かけてやれば、次第に落ち着いてくる呼吸。

今日はそういう日…って分かってても、落ち着いてすぐに“涼は？”って聞かれるのは、ちょっと寂しいよ、お嬢さん。

でも、ずっと先輩にしか頼れなかったAが、唯一頼れるようになった後輩。

なんか、少しだけ嬉しかった。