無限の未来 14th season (ページ15)

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665話ページ15

【ジェシー】

赤「どうだったー？」

「んー、こっちの方が、歌いやすい。けど…音ってあってた？やっぱりわかんなくて…」

赤「だぁいじょぶよ。ちゃんと当たってた。感覚ってすげぇのね！」

先週くらいからかな。
Aが、ちょっと歌いづらそうだと気づいていたのは、俺だけじゃなくて、同じパートを歌うことの多い大我も。

大我が聞けば、耳の影響でちょっと歌いづらくなってるみたいで、試行錯誤を繰り返してきた。

「歌以外も大丈夫だった？」

赤「うん。俺は違和感なかったよ。あ、ジャニーさんも、“Aは、本当に補聴器外して出てるの？”って驚いてたよ」

「そっか、なら大丈夫かな」

舞台も終盤にさしかかってきていて、あと少し。

Aはいつだって、舞台に真正面から向き合っているし、強い気持ちを持ってる。

でもね、なんとなく感じる“いつもと違うA”っていうイメージは、やっぱり違和感なんかじゃないかなって。

赤「なんかあったでしょ。また、Aの側から…」

「んー…うん。ふふっ。ジェスは、どうして、そんなにストレートなん？」

赤「心配だからに決まってるでしょ？」

そう言うと、少しだけ、困ったみたいに眉を下げた。

私ってそんなに分かりやすい？って、苦笑いをしながら、ふっと小さく笑ったのは、どんな意味が込められてるの？

「色々聞いてん。関東も、色々あった。激動やった。正直、“ジャニーズの坂本A”を消してしまいたいとさえ思った」

赤「え…もしかして、また…」

「もう、最後まで聞いて」

「…先に言うとく。私は、辞めない。あの時、もう一度手を差し伸べてくれた、ジェスも、みんなも、誰も裏切りたくない」

珍しく、感情を込めずに淡々と話し続けるAは、かといって、冷めた目をしているわけじゃない。

その視線は、強く何かを秘めていて、どこか熱い。

初めて見た時の、試合中の勇人くんにそっくりな目をしていた。

そんなAの様子を見てか、静かにメンバーが部屋に入ってきて、気づけば、みんなでAの話を聞いていた。

別に暗い話ではなかったけど、強くも消えそうなAを、しっかり支えてないとって感じたんだ。