無限の未来 13th season (ページ10)

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610話ページ10

【慎太郎】

訳の分からないまま、クイズは進んでいくけど、正直どれも信じられるようなものではなくて。

それでも徐々にテンションも上がるし、少しずつ、本当なのかなって。

きっと、ここにいるメンバーの誰もが、そうだった。

でも、オレの隣に座るAは、複雑そうな表情で、それがどうにも苦しそうに見えてたまらなかった。

緑「A、大丈夫…？」

「ん…あ、ごめ…ちょっと、ついていけてなくて…」

緑「ふふっ。盛り上がりは、俺らに任せて？戸惑ってるメンバーが1人くらいいても、いいっしょ」

そう言って、混乱のせいか普段より大きく上下するAの背中に手を添えた。

Aが一番戸惑っていたのは、キャンペーンのためにMVを撮影するというクイズに“○”がついた時。

これに言葉を失ったのは、Aだけじゃなかった。

ガッツポーズをするきょも、とにかく驚く高地、叫ぶ北斗、戸惑いながらも少し疑うジェシーと、どうしても100%は信用できない俺。

樹は突然のことに頭を抱えて、Aは俯いて、少し震えていた。

緑「さすがに、嘘な気がしてきた」

俺のその一言に、変に冷静さを取り戻して同調の声を上げるメンバーに、慣れていた。

口では強気なことを言いながらも、本当はみんな臆病で、もうこれ以上傷つきたくないから、そうやって、期待せずにいるしかなかったんだ。

だから、最終問題が出たときに思ったんだ。

ほらね…って。

でも、そんなの俺たちらしくないから、なんだよ〜って、やっぱりそうじゃんって、分かってましたよ感出してふざけて。

あーあ、また騙されちゃったね。って…
まぁ、でも一瞬でも嬉しかったからいっか。って…
やっぱりYouTubeだったね。って…

そうやって終わるはずだったんだ。

「えっ…」

《「YouTubeアーティストプロモ」キャンペーン
SixTONESに決定！！
ドッキリではありません！皆さんおめでとうございます！！》

必死に涙を堪える樹と、抑えきれずに泣き崩れたA。

とにかく俺たちも感情を整理するのに必死で、しばらく、スタッフさんに質問攻め。

Aは、どんな思いで涙を流してるんだろうって、そんなことが頭によぎった。